基準の10倍以上のアルコールが検出された

英ヒースロー空港で日本航空(JAL)の男性副操縦士(42)が乗務直前、大量の飲酒が発覚してロンドンの警察に逮捕された。

各紙の報道によると、現地の裁判所に対し、副操縦士は罪状を認めた。判決は11月29日に下されるというが、イギリスの法律では最長2年の懲役あるいは罰金、またはその両方が科される可能性がある。

乗客の命を預かるパイロットが酒臭い息を吐きながら旅客機を飛ばす。飲酒運航が大事故に結び付き、大勢の命が奪われたらどうする気だったのか。

2018年11月1日、英国で拘束された副操縦士が使ったものと同型のアルコール感知器を説明する日本航空社員。(写真=時事通信フォト)

逮捕された副操縦士は日本時間10月29日午前4時にヒースロー空港を飛び立って東京に向かう便に乗務することになっていた。

日航の発表によると、乗務20時間前まで6時間にわたって宿泊先のホテルのラウンジや自室で、赤とロゼのフルボトルワイン計2本と瓶ビール(330ミリリットル)3本、缶ビール(440ミリリットル)2本を1人で飲んだ。

ビールだけでも1.8リットルを超える。通常、男性の場合、ビール0.5リットル中に含まれるアルコールが分解されるのに4時間はかかる。朝まで酔いが残り、ロンドンの警察の呼気検査で基準の10倍以上ものアルコールが検出されるのは当然だ。

それにしてもよくそこまで飲んだものである。よほどお酒が好きなのか。それとも酒でも飲まなければ、やってられないような悩みでもあったのか。いずれにしても自らを律しなければならないパイロットの職務をどう考えているのだろうか。

2人の機長は「酒の臭いには気付かなかった」と説明

副操縦士は同乗する2人の機長とともに空港内の事務所で日航独自の飲酒検査を受けたが、感知器は反応せず、アルコールは検出されなかった。

なぜ、アルコール反応が出なかったのか。日航は国内ではストローで息を吹き込む新型の検知器を使っているが、海外では息を吹きかける旧型を使用している。旧型の検知器に問題があったのか。

だが、基準の10倍を超えるアルコール濃度だ。副操縦士が何らかの方法で検査をすり抜けたのかもしれない。日航も不正を疑っている。

上司に当たる2人の機長は「酒の臭いには気付かなかった」と説明しているが、搭乗機まで送迎するバスの運転手が酒の臭いに気付いて連絡し、駆けつけた警察官に逮捕された。日航はロンドン警察の捜査に協力するとともに自社の検査でアルコール反応が出なかった理由を突き止める必要がある。