読めなくても翌日に持ち越さない

2つ目のステップは「記事の関連づけ」です。

新聞を継続して読んでいると、頻繁に取り上げられる話題に気がつくはずです。たとえば最近なら石油価格の上昇などで、それは大きな社会の関心事だとわかります。一方で米国がQE3(量的緩和第3弾)に踏み切るかどうかが焦点になっています。これと石油価格上昇を関連づけて考えると、どうなるでしょう。

通常、量的緩和を行うと物価が上昇しがちです。ですから、物価上昇が進む局面では、量的緩和をなかなか行うことができません。そのため、QE3はしばらく行われないだろうと推測できます。

さらに、金価格に目を向けると、12年3月2日の日経には「金急落、一時1700ドル割れ」とあり、米の量的緩和への期待が遠のいた影響であることが解説されています。このように各記事の関連がわかるようになると、世の中の動きが立体的に見えてくるのです。

3つ目のステップは、データを定点観測することです。

たとえば、日本の名目GDPは現在、約470兆円。これは1991年とほぼ同じ水準です。一方で中国は毎年10%前後の成長を続け、2010年、日本と中国のGDPは逆転しました。

推移を押さえていれば、中国と日本の差は今後ますます広がるだろう、と仮説を立てられます。「消費者物価指数」や「新車販売台数」など、他のデータの推移からこの仮説を検証することもできるでしょう。

私は、企業幹部向けの研修で「1カ月後の株価と為替レートを予測してください」というトレーニングをよく行います。そのためには、日本の金利が上がれば円相場が上がるだろう、企業業績が上向けば株価が上がるだろう、といった仮説を立てる力が求められます。

予測を当てることはたいした問題ではありません。仮説を立て、ストーリーを考えながら予測するというプロセスが重要なのです。こうしたトレーニングを繰り返せば、同じ時間でもはるかに深い情報を掴むことができるようになるでしょう。