老後の健康を保つためには、どんなことに注意したほうがいいか。『人は背中から老いていく』(アスコム)を書いた順天堂大学医学部の野尻英俊先任准教授は「体の他の部位よりも背中が先に老いていくため、足腰や血管が元気でも背中の老化を止められないと健康寿命は短くなってしまう」という。医療・健康コミュニケーター高橋誠さんが聞いた――。
膝が痛いシニア
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「背中だけ老化する人」が増えている

「最近、背中が丸くなった」「歩きにくくなった」。内臓は元気でも、背中だけが老いてつらそうな中高年が増えています。

その背景にあるのが「酸化ストレス」です。私たちは酸素で生きていますが、その消費・代謝の過程で“活性酸素”という有害な物質が生まれ、DNAやたんぱく質、細胞や組織を少しずつ傷つけていきます。いわば“体のサビ”です。

どの細胞でもそうですが筋肉や骨、椎間板など、背中の組織もサビの影響を受け、目に見えないうちに老化が進みます。私は年間3000人以上の多くの患者さんを診てきましたが、「背中だけが先に老けている」人の多さに驚かされます。そのたびに「もったいない」と感じます。

内臓が元気でも、背中が曲がると転びやすくなり、動けなくなる。腰痛や寝たきりにつながることもあります。でも、早く気づけば、未来は変えられます。今からでも、背中を守る意識を持つことが、元気な老後への第一歩になるのです。