また、ネタを考えるのが苦手だという人は、考える癖がついていないだけのことが多いものです。
商売のネタを考えるには、組織全体を見渡す視点が必要ですが、営業やマーケティングなど分業化された組織で働いていると、どうしても視野が狭くなってしまいがちです。しかし、いくらで仕入れていくらで売れば儲かるといった、ゼロから商売を立ち上げることを想定する癖をつけるだけで、ネタは誰でも考えられるようになります。そればかりでなく、回数を重ねるごとに考える力も上がっていきます。
こうした機会が設けられていれば、普段から物事を見る目も変わってきます。たとえばゲームに接しているときでも、ネタを考えようという意識が頭の片隅にあれば、ヒントを探しながらゲームに触れるはずです。
ゲームオタクと呼ばれるような人が1日中ゲームを触っていたからといって、商売のネタというのはけっして生まれません。消費させられる側でなく、生産する側に回るには、ゲームであれ、マンガであれ、つねに考えながらモノに触れていることが大切なのです。
人は年齢を重ね、会社内での階層が上に行くほど、自分を追い込むことが面倒になり、アイデアを考えたり、新しいことに挑戦するのを厭いがちです。その結果、時代に淘汰されてしまう。
わが社では2年に1度、役員の改選があり、8人のうち2人が必ず入れ替わるルールになっています。ですから役員は必死です。これもまた、自分たちを追い込むための仕組みなのです。
藤田 晋
1973年生まれ。主力事業の「Ameba」は会員数1800万人を突破。著書も多数。近著に『藤田晋の成長論』。