自分が独立した存在になれば、自分の外のものに対しても寛容になれるだけでなく、人と比べて落ち込む気持ちや、誰かとつながっていなければいけないという不安感からも自由になれます。対外的な関係で不安になるのは、価値の評価軸を自分の外に求めているからです。

いまの世の中には、ツイッターやフェイスブックのように他者とのつながりを容易にするツールが溢れています。ただ、つながりを感じると同時に、孤独を感じている人も多いのではないでしょうか。その孤独を何かで埋めようとすることを、まずはやめること。孤独とは自分と向き合うチャンスです。ある缶コーヒーの広告に「孤独とは、純度の高い自分」というコピーがありました。

自己を持たない羊の群れとしての相互依存は、心を不安定にしていきます。むしろ私たちに必要なのは、群れから離れて1人になることではないかと思います。1人になって自分と向き合い、揺るぎない軸を立てていく以外に、穏やかな心を手に入れる方法はありません。

慶應義塾大学大学院特任准教授
ジョン・キム

1973年、韓国生まれ。日本に国費留学。英オックスフォード大学客員上席研究員、米ハーバード大学客員研究員を歴任。独自の哲学と生き方論が支持を集める。

(図版※注:gooリサーチとプレジデント編集部の共同調査により、「時間とお金」に関するアンケートを、2011年11月15~17日の期間で実施。個人年収500万円台と1500万円以上のビジネスパーソン計613人の有効回答を得た。)

(構成=村上 敬 撮影=葛西亜理沙)
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