「資産がバラバラ…」を回避するには

普通預金、定期預金、個人向け国債と、現時点で相対的に高い金利をつけている商品を見てきました。ここで懸念されるのが、高金利を追いかけて新たに口座を開いては、次に乗り換える行動を繰り返すと、口座数ばかりが増えてしまい、満期日や現在の適用金利などが把握できない状況に陥ってしまうことです。

大切なことは、自分にとって使い勝手がよく、お得に利用できる銀行を選ぶことです。銀行によって、高金利だけれどまとまった資金が必要だとか、取引状況によって優遇金利が適用になるとか、比較的高い金利で積立定期預金が利用できるとか、それぞれ特徴があります。

定期預金であれば、常にトップの金利でなくても、安定的に高金利をつけている銀行を利用し、じっくりと資産形成に取り組むことがお勧めです。元利自動継続型にしておけば、複利効果で自然と残高が増えていきます。管理できる範囲で目的に応じた使い分けをするとよいでしょう。 

物価上昇に負けないよう、資産の底上げを

オンライン取引をしていれば、いつでもログインをして取引状況を確認できます。定期的に契約内容を確認する習慣をつけてください。銀行によっては、定期預金の満期が近づくとメールでお知らせしてくれるサービスがあります。事前に登録が必要なケースもあるので確認してみてください。

また、複数の口座を一括管理できるアプリもあり、銀行口座だけでなく、証券口座や電子マネー、クレジットカードとの連携も可能です。

ただし、便利なツールがお金を増やしてくれるわけではありません。自分や家族のライフプランが前提にあり、それを実現するためのマネープランとゴールに向けた確実な実行がなければ、資産形成は絵に描いた餅です。まずは現状を正しく把握してスタートラインに立ちましょう。

消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、2025年度に2%台半ばとなったあと、2026年度は概ね2.0%程度との予測もあります(※5)。今回は、安全性が高く相対的に金利の高い商品を見てきましたが、現状では、円ベースでの金利商品だけで資産価値を守ることはできません。インフレに負けないために、リスクを取って運用することは大事です。

かといって、金利商品を蔑ろにしてよいということではありません。大きな割合を占める安全性資産の金利にも敏感になることで、資産全体の底上げを図ることができるのです。

(※5)日本銀行「経済・物価情勢の展望」2025年1月

注:記事中の金利はすべて税引き前。2025年2月14日時点。

(初公開日:2025年2月18日)

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