さらに、2つの視点はそれぞれ3つのポイントに分けられます。経営視点で1つ目のポイントになるのは、経営理念やビジョンといった会社の方向性と、それが実際に社員に共有されているかどうかです。2つ目は、ビジョンを実現するための戦略やビジネスモデルで、それらにどれだけ独自性、将来性があるかどうか。3つ目は財務の健全性や人材、ブランド、顧客といった、競争を戦い抜くためのリソースをどれだけ持っているかです。
職場視点では、まず組織風土を見なければなりません。どんな組織で、どういう特徴や雰囲気があり、どんな人たちが働いているのか。2つ目は仕事の内容とやり方で、3つ目は給与や福利厚生、マネジメントスタイル、社員の評価方法などといった処遇に関するものです。
ウェブでブラック情報を見抜く
●「熱意」「やる気」が強調されていないか
6つの視点で会社を見ていくときにネックになるのが、分析に必要な情報の収集です。上場企業であれば有価証券報告書やホームページ上でさまざまな情報がオープンにされていますが、非上場企業や中堅・中小企業では得られる情報に限りがあります。
会社に関する情報源はABC3つのランクに分けられます(図)。Cランクは誰でも容易に入手できる情報、Bランクは積極的に動けば入手できる情報、そしてAランクの情報は社員との接触やその企業に詳しい人などから直接得た1次情報で、最も入手しづらく、もし入手できたら強い武器になる可能性があります。
会社の情報収集でまず見るべきは、やはりその会社のホームページです。見る順番は(1)企業理念・ビジョン、(2)トップのメッセージ、(3)事業内容、(4)社史、(5)財務データ、(6)人と組織、(7)取引先、(8)採用情報という流れがよいでしょう。理由は、会社の上位概念から徐々に各論を見ていくことで、会社の目指している方向性を把握するとともに、理念やビジョンが実際の戦略や人の働き方に通底しているかを確認しやすいからです。