原因物質が広範囲すぎる
しかし、メチル水銀の摂取量が比較的少ない場合に見られる感覚障害や子どもの神経発達への影響は、症状が捉えにくいため、その影響が理解されるまでに長い時間がかかりました。
PFASについても現在、私たちが摂取している量では急性の影響は出ませんが、摂取量が高いか低いかで比較して、様々な病気のリスクが研究されてきました。
PFASの摂取量は原因となる物質、製品があまりにも広範囲にわたるので、なかなか特定できません。個人ごとの生活習慣や活動範囲によっても摂取量はまちまちです。
そこで摂取量を個人ごとに把握するために血液中のPFAS濃度が利用されてきました。
米国、ドイツでは「望ましい血中濃度」が示されている
米国やドイツでは、健康への影響が少ないと考えられる、望ましい血中濃度の数値を具体的に示しています。
米国科学・工学・医学アカデミーでは、PFOSとPFOAなど7種のPFASを合計する血中濃度を20ng/mlと定め、これを超えると、脂質異常症や甲状腺疾患といったリスクが徐々に上がるとしています。
そして、濃度の高い人は摂取量を減らすための対策を行ったり、影響の早期発見のために血液中のコレステロール値の検査を受けたりすることをすすめています。
また、ドイツ環境庁の専門委員会はPFOSの血中濃度が20ng/ml、PFOAは10ng/mlと設定し、妊娠可能年齢の女性はそれぞれ半分の濃度としています。