発言その⑤

「もう、虹の橋を渡った向こう側では、きっと、好きな『気持ちいじゃ~ん。』っていう音楽を聴きながら、大好きなお酒だったりとか、楽しんでただきたいなと思いますね」

by 木村拓哉

【大人げなさ鑑賞ポイント】

こちらも、さっきの「トド」同様、けっして悪気があっての発言ではありません。木村拓哉が10月27日に、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組で、17日に亡くなった俳優の西田敏行さんを悼むコメントの締めとして、こう語りました。

木村は、何度も共演したこともある西田さんとの思い出を語りつつ、尊敬や感謝の気持ちをしんみりと伝えます。それ自体は感動的でしたが、多くの人が引っかかったのが「虹の橋を渡った」という表現。はっきりした定義はないものの、一般的にはペットの死に対して使う言葉です。あちこちで「大人げない無知っぷり」を嘆く声が起こりました。

しかし、キムタクは言葉の専門家でもなければ、知識を求められる仕事でもありません。そういう人に対して、鬼の首を取ったみたいに「言葉の使い方が間違っている」と批判をぶつけるのは、それはそれで大人げない行為と言えるでしょう。「大人げない発言」は、それを鑑賞する側の「大人げなさ」も浮き彫りにしてしまう恐い一面があるようです。

発言その⑥

「おじさんがパーカー着るなとか、若い子と交流するなとか言うのはエイジハラスメントじゃないですかね‼」

by 堀江貴文

【大人げなさ鑑賞ポイント】

もともとは27歳の女性作家が、YouTube上で「40近くになってパーカーとか着てるオジサンってけっこうおかしいと思うんですよ」と発言したのが発端でした。それ自体は「へえー、そう思う若い女性もいるんだなあ」ぐらいの話です。

ところが、この発言に対して実業家の堀江貴文氏が激しく反論。Xに「おじさんがパーカー着るなとか、若い子と交流するなとか言うのはエイジハラスメントじゃないですかね‼ 若い女がおじさんのことをdisるのはいいんですかね 逆はめちゃくちゃ叩かれるのに! 正直めちゃくちゃ腹立ちますね。この女」と、大人げなくキレ散らかします。

秋葉原駅前でNHK党の演説演説をする堀江貴文氏(写真=ノウケイ314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

きっと堀江氏の心の大事な部分に触れてしまったのでしょう。その後、双方から「じつはこういう意図で」という補足や後出しの説明が出てきたりしています。そんな騒ぎを面白がりつつ、おじさんのあいだでちょっとしたパーカーブームが盛り上がっているのは興味深いところ。大人げなさのパワーがもたらした楽しい展開と言えるでしょう。

ほかにも、引っ張りだこだった女性人気タレントが、SNSにほかのタレントへの極めて大人げない暴言を書き込んだケースもありました。それがきっかけとなって、彼女は表舞台から姿を消します。大人げなさの危険性をまざまざと見せつけてくれる出来事でした。

とくに権威も意味もありませんけど、パーカーを日常的に愛用しているおじさんのひとりとして、最後の堀江氏の発言に「日本大人げない発言大賞2024」の称号を進呈させていただきます。おめでとうございます。これからも「大人げない道」を貫いてください。

さて、2025年は、どんな「大人げない発言」が飛び出すのか。世に「大人げない発言」の種は尽きまじ。来年も大人げなさが織りなすドラマを楽しみましょう。

関連記事
わざわざポスター代の自腹を切る候補など1人もいない…斎藤元彦知事の「苦し紛れの弁明」が剝がれる"Xデー"
絶望から立ち上がるエモい物語に飛びついた…「斎藤前知事圧勝」の裏で起きていたネット民の"手のひら返し"
「妻の友人と自宅不倫」的な後味悪さ…東京の女子でなく「地元香川で元グラドルと逢瀬」玉木雄一郎代表の罪深さ
Luup社長「違反者を撲滅できる」発言が炎上…急拡大する電動キックボードに渦巻く「いけ好かなさ」の正体
ホリエモン「これをやらないやつはアホ」…申請すれば誰でも得をする「最強の節税術」の知られざる効果