媚びへつらいも、マウントをとる必要もない

しかし、誰かと初めて話すときに、相手の年齢や立場が気になる人は多いのではないでしょうか。人間は社会的動物であり、「序列」をつけるのが社会というものですから、それも無理からぬことです。

特に日本語では、敬語(尊敬語、謙譲語、丁寧語)、さらにはタメ口と、相手によって使う言葉遣いが個別に確立されています。それを遵守するには、最初に相手が自分よりも上なのか下なのかを知って、「どういう言葉遣いで話すのか」を判断しなくてはいけません。美しい言語文化ですが、そこに少し煩わしさを感じている人もまた、多いと思います。

しかし、上下関係を気にしていると、目上の人にはやたらと丁寧に話し、目下の人のことはぞんざいに扱うというように、あからさまな態度の違いが表れかねません。これでは気くばりとはいえませんね。

ですから、気になるのはわかりますが、まず「誰が上、誰が下」という発想をいったん取り払ってしまいましょう。そして、みなをフラットに扱うように意識してみてください。

といっても、誰に対してもタメ口でオーケーということではありません。「誰が上、誰が下」という発想を取り払い、みなをフラットに扱う。これは、「みなを自分と同等に扱う」ということではなくて、「みなを等しく敬う」ということ。目上だからといってむやみに媚びへつらう必要もなければ、目下だからといってむやみにマウントをとる必要もありません。

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相手が年下ほど、フラットな関係を意識するといい

つまり、誰に対しても敬意を払い、丁寧な態度で接することが、まず重要なのです。私は、特に年下の人に接するときは、年齢差を上下差と感じさせないような、フラットな関係になるよう、年上の人に接するよりも、さらに気をくばって、こちらから声をかけるようにしています。

数人と一緒に会話している時、誰か一人だけその話についていけていないと察したら、すぐに声をかけて、今話している内容を補足説明するということも、気くばりのひとつです。

あとは、年下の相手が気を遣いすぎて、話しかけづらいかもしれないので、あえて、私は「モモって呼んでね」などと言うようにしています。そうすることによって、ググッと距離感が縮まります。

年下の人になら、「○○さんは、いつも友達からどのように呼ばれているの?」と聞いてみて、「そしたら、○○ちゃんって呼んでいい?」と気軽に呼び合えるような距離感と雰囲気作りに気くばりするとよいでしょう。

私はよく「人との距離を縮めるのが上手い!」「絶妙な距離感の取り方ができるよね」と褒められます。ファーストネームや、ニックネームで呼び合うこと、相手の愛称をつけて呼びかけたり、自分も「モモと呼んでね」などといったりすることで、年下の相手が緊張しないように、距離感を縮めていきましょう。