大切な相手であってもストレスを感じることはある

異常と言われる犯罪を犯してしまった人たちの多くは、事件前、1人で家に閉じこもっていた期間があります。

1人だけで考えて考えて、どんどん思考や感情がおかしな方向へズレていって、でも誰ともふれあっていないからチューニングの機会もなくて、ついには弦が切れてとんでもない行動に出てしまったのではないでしょうか。ですから孤独100パーセントはやっぱりまずい。

人間は社会で生きる動物。絶対に最小限の「ふれあい」は必要です。精神科で行っているデイケアや訪問看護も、もちろん生活を支援するという側面もありますが、一番の目的は「ふれあいの提供」、孤独100パーセントにしないためのケアなのです。

くり返しますが大切なのはバランスです。

人間はどんなに好きな人とふれあっても、どんなに仲の良い友人と楽しく過ごしても、それでもストレスを感じてしまう難しい動物です。

だから孤独も絶対必要。孤独と向き合うことは自分と向き合うことでもあります。誰かといる時と1人でいる時、自分の本音を日記に書きやすいのはどちらでしょうか。それはもちろん1人でいる時ですよね。

「孤独」を楽しむ時間があっていい

自分の内側を旅するためには、孤独はどうしても必要なのです。それに孤独をまとっている人だけが放つことができる、素敵な魅力があることもまた事実です。

「孤独死」という強い言葉が蔓延したせいか、どうしても孤独が悪いもののように扱われがちですが、上手に活用すれば孤独はとっても良いものです。素敵な結婚生活を特集する番組があるなら、素敵な孤独生活を特集した番組があったっていい。

福場将太『目の見えない精神科医が、見えなくなって分かったこと』(サンマーク出版)

かっこいい孤独のアイテムやテクニックを掲載した『月刊 孤独マガジン』だって刊行されていいのではないでしょうか。ダメですかね、サンマーク出版様。

少なくとも私は孤独のない世界はごめんです。

平日は毎日毎日、何十人もの方とお話しする仕事ですから、休日は1人でいたいわけです。

あなたは孤独が嫌いですか? 「孤独な奴」と思われるのが嫌いなだけで、孤独そのものが嫌いなわけではないのではありませんか?

ふれあいのサウナでのぼせたら孤独の水風呂へ。孤独の水風呂が辛くなってきたら今度はふれあいの温泉へ。そんな心のスパを楽しみましょう。

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