マンションの値下げ競争も激化している

ネットショップなどの売り上げは伸びたものの、百貨店やブランドショップの売り上げは減少した。消費者は価格下落や景況感の悪化などを予想し、価格帯の高いモノ・サービスへの支出を抑えているようだ。9月中国の消費者物価指数は前年同月比で0.4%のプラスだったが、川下分野でのデフレ圧力はかなり強いことが窺われる。

個人消費の弱さの要因の一つは、不動産市況の悪化とみられる。9月の新築住宅価格は70都市の単純平均で前年比0.7%下落した。前年同月比では5.8%下落、8月の5.3%を上回った。1~9月期の不動産投資は前年同期比10.1%減少、不動産販売(床面積ベース)は17.1%減、新規着工(床面積ベース)は22.2%減だった。不動産市況改善の兆しはまだ見えない。

中国の家計部門の貯蓄に占める不動産投資の割合が多岐であることを考えると、不動産市況の悪化の影響は小さくはないはずだ。2023年頃から、一部地方政府は、それまで大きな価格下落を抑えていた住宅価格のコントロールを緩めた。それに伴い、価格を大幅に下げてでも売却したいという業者は増えた。需要よりも供給が多い中、値下げ競争は激化した。

「不動産成長」の夢はついえた

また、一部のマンション購入者は、先々の値下がりを予想して、買い控え姿勢を強めた。コストをかけて営業するより、販売を停止し経営体力の喪失を食い止めようとする不動産業者もあると報じられている。

過去のピーク時点で中国の不動産関連の需要は、GDPの29%近くを占めたとの推計もある。不動産の価格は上昇し続けるという強い期待(高い成長の夢)は雲散霧消し、設備投資、生産活動も停滞気味だ。

1~9月期、企業の設備投資などを示す固定資産投資は前年同期比3.4%増加したが、民間の投資は0.2%減だった。マンションなど不動産不況の深刻化で、セメントなど基礎資材の生産も減少した。人口減少もあり、個人商品などの内需は縮小傾向にある。