65歳の誕生日の前日までに籍を入れることが重要

忘れてはいけないのが、加給年金がもらえるかもらえないかの判定のタイミングです。

加給年金が加算されるかどうか、判定されるのは65歳到達時です。もしも、この時に、妻と死別していたり、別れてしまっていたら、加給年金はもらえません。

また、内縁の妻がいる場合、この時点で内縁関係が証明できなければ、加給年金がもらえません。内縁関係であることがわかる公的な書類を用意しておきましょう。国は提出書類でしか事実を判断できません。

そして、独身の方が、結婚・再婚する場合は注意が必要です。結婚の時期によっては、加給年金の対象外となります。中高年で結婚を検討している方は、結婚の時期を意識することで加給年金がつきます。

具体的には、65歳誕生日の前日までに籍を入れていれば、加給年金が支給されるためとてもお得です。もし、婚姻届の提出が1日でも過ぎてしまえば、1円ももらえなくなってしまいます。機を逃さずに申請してください。

でも、65歳到達時に厚生年金加給期間が20年に達していない、あるいは、あと数カ月で厚生年金加入の期間が20年になるという場合もあるでしょう。

その場合は、65歳以降厚生年金に加入しながら働き続け厚生年金加入期間が20年になった時点で、生計を維持されている65歳未満の妻がいる場合、妻が65歳になるまで加給年金が支給されます。

ここでは、理解しやすいように、年下の妻と表現していますが、法律上は、夫婦は逆の立場でも良いことになっています。

加給年金は配偶者の年齢が65歳に達すると終了します。

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もらえる金額は配偶者との年齢差で決まる

最終的に加給年金がいくらもらえるかは、受給者と配偶者との年齢差によります。年齢差が5歳なら、5年間で約200万円、10歳なら10年間で約400万円、15歳なら15年間で約600万円が年金に加算されることになります。

ただし、加給年金には落とし穴があるので注意してください。

それは、繰下げ受給の待機期間は加給年金をもらえないことです。年金の繰下げ受給とは、通常65歳から受給がスタートする年金を、65歳以降からもらい始めることです。もらう時期を後ろ倒しにした分、もらえる年金額が増えます。例えば、70歳から年金をもらうとしたら、5年間が待機期間となります。

つまり、5年間繰下げた場合、70歳になった時点で配偶者が65歳未満であれば、加給年金はもらえますが、70歳になった時点で配偶者が65歳を過ぎているともらえないということになります。