83歳の母親に万が一が起こるのはそう遠くない日のことなのに
母親はすでに83歳。長女と長男の仲は悪く、親亡き後は絶縁状態になることが予想される。生活能力の乏しい研一さんがひとりで暮らす時期のことは、1日でも早く、相談を前に進めたい。
「お母様のご年齢を考えても、先送りする時間的な余裕はありません。必要であれば、私が長男さんに相談に来てもらえるように電話で説得します。相談というよりも、『今、考えていることを、私に教えてほしいんですが』と誘ってみますので、お母様にもご協力をお願いできませんか」と頼んでみた。
このようにお願いしても、母親は気が進まなそうな顔をするだけだった。結果として小川家の相談は進展しないまま、時間だけが過ぎている。今後も同じようなことが、延々と繰り返されるのだろう。そのうち母親に介護が必要になったり、万が一母親が亡くなるということも十分に考えられる。
長年、会話が成立しない長男との生活に、母親が疲れ切っているのは理解できる。それでもなんとか、勇気を出して長男と向き合い、相談の場に連れてきてほしいと頼み続けるしかなさそうだ。