予想を外しても検証すらしない専門家たち

集団免疫論はすでに崩壊しており、「国民の70%が2回ワクチンを打てば集団免疫を獲得」やら「まさかの終生免疫となる可能性」やらとXで述べていた医者も、現在はそれらの論をしれーっと「なかったこと」にしている。

加えて「高齢者や病気を持つ人が罹患りかんすると危険」とやみくもに言い続けていたら、永遠にこの騒動は終われなくなる。人間はまず「自分自身の幸福を実現するため」に生きている。どんなにキレイごとをならべたところで、原則はそれだ。どこかの知らない高齢者や病気を持つ人に思いをはせながら日々を過ごしているわけではない。

なお、専門家は予想を述べたところで外れても何も言わないし、検証もしない。京都大学・西浦博氏の「何もしなければ42万人死ぬ」発言もそうだし、多くの医者が指摘した「新型コロナが5類になったら医療崩壊する」についても、独自に2類相当の扱いを続けたせいでセルフ医療崩壊を起こした病院がいくつか存在する程度である。前述した二木氏の「9月には1500万~2000万人が感染」発言も外れるだろう。実際、7月下旬にはピークアウトした。

根性論でウイルスは撃退できない

二木氏によれば、今夏、感染者数が増えた背景には次のような理由があるという。

「夏場は冷房を効かせるために換気がおこなわれにくく、マスクを外す人も増えることから、感染が広がりやすい。また、夏休みを行楽地などで過ごす人が増え、人の移動が盛んになることで、患者の数は増え続けると考えられる」

そして「二木氏によると、感染拡大のいちばんの原因は感染対策の緩み」なんてお決まりの主張が同記事にも登場する。冷静に振り返ってみてほしい。人々が緩みなく、ずっと緊張し続けながら過ごしていた2021年~2022年の被害は、2023年よりも大きかった。「気の緩みを正せ」といった根性論でウイルスを撃退できると考えているさまは、太平洋戦争における神風特攻隊や竹槍訓練を彷彿とさせる。

二木氏は、対策は以下のようにせよ、と述べる。

「換気や手洗いを徹底すること、重症化しやすいとされる高齢者は人混みに出る際にマスクの着用を徹底すること、それに症状が出た場合、早めに医療機関を受診することなど、これまでよりも少し強めの対策を心がけてほしい」

コレ、2020年の3月からずっと言われ続けてきたことではないか……。結局、5年目に入ってもゼロコロナの実現は無理だった。この対策は効果がない、と現実の推移から見極めるのではなく、「対策を続ければいつかは効果が出る」と煽り続けているのがコロナで脚光を浴びた「専門家」の皆さまなのだ。彼らは性懲りもなく、マスク・ワクチン・自粛・換気・人流抑制の5つの切り札をいまだに提示してくる。

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