決断を下す必要がない

また、自分自身への過小要求と同じくらい良くない、自分自身への過大要求も回避できます。

時間配分が下手な人はしょっちゅうストレスを抱え、一杯一杯になっています。それは、デッドライン間際に多くのことを片づけなければいけなくなるために、つねに切迫感にさいなまれているからです。

日々の行動を決めておくメリットとして、何度も新たな決断を下す必要がなくなるといった点もあります。これは大きなメリットです。

なぜなら、意志力と決断力は密接に関係しており、どちらも過剰に要求されると完全に失せてしまうからです。このことは、心理学のさまざまな実験で証明されています。

行動に規則性を持たせると人生がラクになる

ある実験では、車を運転するドイツ人にコンピュータ上で新車の装備(色や内装、エンジン)を選んでもらい、その決断の仕方が検証されました。その結果、決断する回数が多ければ多いほど、決断することが困難になり、標準モデル(最低価格よりも平均1500ユーロ高いにもかかわらず)を選びがちになることがわかりました。

シュテファニー・シュタール著、繁田香織翻訳『「本当の自分」がわかる心理学――すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある』(大和書房)

予定が決まっていれば、「その予定に従う」という一つの決断を下すだけで済みます。もちろん、例外があってもかまいません。私だって、つねに前述した予定をすべてきちんとこなせるわけではありません。ただ、基本的な行動パターンを決めておけば、いつでもそのルーチンに戻ることができます。

あとは、最初の一歩を踏み出せるかどうか、だけです。これが一番難しいかもしれません。そのためには、ものすごい原動力を必要とするからです。

でも最初の一歩を踏み出せれば、次はそれよりもラクにできます。そして、始めた行動を変えずに、そのまま定期的に行っていけば、どんどんラクにできるようになっていきます。

逆に、「やらなければ、やらなくなる」のです。これは、セックスにもいえます。とくに、安定した関係が長く続いているカップルで、相手に対する情熱が冷めてきた場合は、これが原因だといえるでしょう。

行動に規則性をもたせることは、さまざまな意味で人生をラクにしてくれるのです。

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