※本稿は、シュテファニー・シュタール著、繁田香織翻訳『「本当の自分」がわかる心理学――すべての悩みを解決する鍵は自分の中にある』(大和書房)の一部を再編集したものです。
休めば休むほど動けなくなる
あなたもおそらく一度は次のような経験をしたことがあるでしょう。休めば休むほど動けなくなり、動けば動くほど活動的になる。
じつは、このことは「慣性の法則」に関係しています。つまり「動いていない物体(身体)は、外部からの力(動く理由)がないかぎり静止し続ける。動いている物体(身体)は、方向や速度を変えたり動きを停止させたりする力(理由)がないかぎり、そのまま動き続ける」といった法則です。
私も学生のころに、この法則を強く実感したことがあります。そのときのことをお話ししましょう。
ずっと前から楽しみにしていた期末休暇が始まったときのことです。試験が終わったら集中してやろうと思っていたことは、山ほどありましたから、最初の3週間は、ToDoリストに記したさまざまなことを行い、活動的に過ごしました。
ところがその3週間のうちに、ToDoリストに記したことをすべてやり切ってしまい、その後はすべきことがなくなってしまったのです。
長い、いや長過ぎるフリータイムの始まりです。朝にきちんと起きて、身支度を整えなければいけない理由もありません。コーヒーを淹れて、ベッドに戻り、寝転がったまま小説を何時間も読み続けました。
すると、動かないことで血の巡りが悪くなり、昼頃に身体がだるくなってきたのです。そのため、また少し寝てしまいました。
午後に起きたのですが、そのときにはさらに血の巡りが悪くなっていました。気分はどんより。またコーヒーを飲んで、なんとか気持ちを奮い立たせてリビングへ行き、少し気分転換しました(こういった気分転換さえしないこともありました)。
そして夜には、「今日は、なんの成果もない一日を過ごしてしまった……」と後悔し、自分のことを情けなく思っていました。動かなければ動かないほど、怠け者になっていったのです。