各国の金融政策が自由放任でいいワケ
変動為替制のもとで二国が貨幣政策を使って、望ましいインフレ率を目標としてゲームを争ったとしよう。各国の中央銀行は、相手国の通貨政策の影響による為替レートの変動が自国のインフレに影響を与えることを常に意識しなければならない。しかし、各国がこの相互依存関係を認識して行動する限り、互いの影響を加味したうえで、自国に最適な政策、つまりレッセ・フェール(自由放任)の貨幣政策を行えばいい。
ただし、このような各国にとって都合のいい結論が出るのは、貨幣政策の手段が一つ、インフレの目標も一つだからである。もし、国際収支のバランスの目標や、財政収支の目標などが加わると、このシンプルな議論は成り立たなくなる。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年8月16日号)の一部を再編集したものです。