GAFAMは民主党とハリス氏に多額の献金
2017年にバージニア州で起きた暴動事件で、トランプ氏が「白人至上主義者も良い人たちだ」と発言したために、ペプシコやディズニーのCEOらがアドバイザーを一挙に辞任。2020年のブラックライブスマター運動では、支援を拒否するトランプ政権や共和党と対立した。そして2021年1月の議会襲撃をきっかけに、多くの大企業がトランプ氏への献金をとりやめた。
消費者の支持を得たい企業にとって、差別反対、人権重視の立ち位置は必須だ。しかしトランプ氏が当選すれば、双方はお互いが必要となる。大企業としてはどちらの政権が勝ってもいいように、中立的な立場をとることは当然だろう。
ではシリコンバレーから世界企業となったGAFAは、ハリス氏、トランプ氏どちらに寄付しているのだろうか?
お伝えしたように、候補者への献金はスーパーPACを通じて行われるので、詳細は明らかではない。しかし、ワシントンD.C.を拠点とする非営利団体で、選挙資金やロビー活動に関するデータを追跡・公表している「オープンシークレッツ」のサイトで、ある程度の情報を得ることができる。
それによれば、GAFAの中でもグーグル、アップル、メタは、圧倒的に民主党とバイデン氏(ハリス氏含む)に寄付している金額が多い。アマゾンも民主党寄りだが、他社に比べると共和党とトランプ氏への寄付の割合が高い。
他の大手テック企業を見ると、マイクロソフトも圧倒的にハリス氏側に献金しており、エヌビディアも民主党寄りだ。元々中道左派のシリコンバレーの伝統がここにも表れているといっていいだろう。
“ハネムーン”を過ぎても勢いを保てるか
こうして比べると、人権を重視し社会正義を守り、女性や若者に支持されるハリス民主党と、対照的にビジネス優先の白人男性が推すトランプ共和党というコントラストがはっきりしてくる。
この違いはすでに世論調査にも表れている。CNN(7月24日)によると、全体の支持率はトランプ氏がわずか3ポイントのリードで両者拮抗しているが、女性に絞るとハリス氏が5ポイントのリード。また18~34歳の若者はトランプ氏の7ポイントリードから、ハリス氏の4ポイントリードに逆転した。
人種で見ると、黒人はハリス氏が47ポイント差から63ポイント差まで大幅にリードを広げ、ヒスパニックはトランプ氏の9ポイントリードから、ハリス氏の2ポイントリードに逆転している。
激戦州での女性と若者、マイノリティの票の行方が結果を左右するといわれる今回の選挙。今のところハリス氏の出だしは好調だが、ハネムーンと呼ばれる時期が過ぎてもこの勢いをキープできるのか、今後どれだけの資金が確保できるかにも注目したい。