病気に感染するオレンジが急増
ブラジルでは2004年3月に、柑橘類ベルトに位置するアララクアラ市で北中南米で初めて確認されて以来20年もの間、生産者の頭痛の種となっている。
カンキツグリーニング病は世界的な問題だが、特にブラジルの柑橘ベルトでは拡大が著しく、昨年度は域内のオレンジ果樹の38.06%にあたる7722万本の樹木で検出された。その数は前年比56%増となっており、事態は深刻だ。
現在のところカンキツグリーニング病に感染したオレンジ樹木を治癒する方法はなく、グリーニングに強いオレンジの亜種も存在しないため、農薬や鉱物カオリンの粉末を散布するか、キジラミの天敵である寄生バチのミカンキジラミヒメコバチを生育し農園に放つなどして対応している。
カンキツグリーニング病が広まった原因の一つは、感染した樹木を伐採せず、放置する生産者がいるためで、州政府は昨年12月にグリーニング対策キャンペーンを打ち立て、生産者への啓蒙などを行っている。
日本はオレンジジュースの輸出先で第4位
継続的な減産と昨年の不作によりブラジルの生産者はさぞかし困窮しているのではないか?
収穫量と輸出量の減少とは裏腹に、今年の収益は過去最高を記録した。
ブラジル柑橘類輸出業者協会(CitrusBR)の発表によると、最新の2023/2024年度の輸出売上は約25億ドルで、約20億7000万ドルだった前年度から21.29%増と大いに潤っているのだ。
また直近3年間に限ると、輸出量は微増微減を繰り返しているが、輸出額は4年連続で増加している。
「出荷額は需要と供給の市場原理に従ったもので、果汁の国際価格の上昇に伴い増加したのです」
CitrusBRエグゼクティブ・ディレクターのイビアパバ・ネット氏がデータについて解説してくれた。
「ブラジルの主なオレンジジュース輸出先はヨーロッパ(52.46%)、アメリカ(32.85%)、中国(8.51%)、日本(2.88%)の4カ国・地域で、これらの地域だけで輸出量の約97%を占めます」
ちなみに濃縮還元オレンジジュースの世界の消費ランキングでは、ヨーロッパを筆頭にアメリカ、中国、カナダ、ブラジル、日本と続く。
コロナ禍が発生した2019/2020年度からこれまでの5年間のブラジル産オレンジジュース輸出の動向を見ると、対欧、対日貿易においては輸出量とシェアが年々減り続けているのに対して、対米、対中貿易においては輸出量と収益が逆に年々上がっていることが見て取れる。