分散投資には、場所や時間、投資先などさまざまな分散方法がありますが、外国に資産を持つことは最もわかりやすい分散方法のひとつと言えます。
一方、海外株投資に踏み込めない理由として、馴染みがないだけに、どこに投資していいかわからないという声を聞くことがあります。でも昨今、日本人にとって身近な企業は、果たして日本企業だけでしょうか?
例えば、こうして原稿を書くのに使うのは、マイクロソフトやアップルのOSやソフトウエアを搭載したパソコンです。毎日のオンライン会議で使うアプリケーションはZoomですし、書籍からオフィスでのコーヒーブレイクに使うコーヒー豆まで、多くの買い物はアマゾンが届けてくれるという人も、少なくないでしょう。つまりどれも米国生まれの企業なのです。このようにとくに米国株の場合は、日本株と同じくらい日本人に身近な企業も多くなっています。
市場の上がり下がりに動じず長期投資を
ここまで主に海外株のいい面を紹介してきましたが、もちろん投資は元本割れが起きることがあります。投資信託にしろ、個別株にしろ、価格は必ず変動するわけですから、一時的にでも元本が減ることだってあるのです。とくにアジアの新興国では、国の情勢が不安定な場合もあり、カントリーリスクや為替リスクなどが重なって資産を減らしてしまうリスクは大きくなっています。でもそんなリスクがある代わり、これから成長していく国には、大きなリターンも期待できるところがメリットと言えます。
その意味でも、海外株に投資するなら長期の投資が原則となります。デイトレードのように、上がった下がったで売り買いするのではなく、上がる日も下がる日もあるなか、長い目で見ると緩やかに資産が増えていることを狙う長期投資の王道を進むことをおすすめします。
長期的な成長を信じるのであれば、暴落したときに狼狽売り(慌てて売って損をしてしまうこと)に走らないこと。上がったときも下がったときも平常心で投資を続け、できる限り、途中でやめないことがポイントとなります。
そのために自分はどこまで損が出たら、精神的にプレッシャーを感じるのかという「リスク許容度」を知っておくことが重要です。この許容度を左右するのは、上の表のような7つの項目。そんな日は来てほしくはありませんが、自分が耐えられなくなるのは10万円を失ったときなのか、100万円を失ったときなのか。しっかり確認して、それ以上の資金は使わないようにするのが、投資の鉄則です。
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月19日号)の一部を再編集したものです。