新興国が成長すればコカ・コーラが儲かる

――パックンさんは新興国には投資していますか。

【パックン】昔から新興国ファンドはもっています。一時期はやったBRICsファンドも持っています。ということはロシアにも投資している(苦笑)。ただ、期待していたほどの長期成長率を見せてないのも事実です。僕の経験上では。

なぜかと考えると、新興国が成長するときには、結局、アメリカの大手企業が入っていきます。大手企業の市場開発力は半端ないでしょ。日本でも自販機はコカ・コーラ社の製品が半分ぐらいを占めている。日本の企業もおいしい炭酸飲料をつくっていますが、アメリカの大手企業はすごい。

撮影=遠藤素子
「新興国が経済成長するとアメリカの企業が儲かることも多い」とパックンさん。

【エミン】でも、コカ・コーラのほうがおいしいでしょ(笑)。僕はコカ・コーラのマシンじゃないと買わない。コーラ以外でも僕が好きなのは紅茶花伝とか、すべてコカ・コーラ社の製品だから。

【パックン】わかるよ。僕もモンスターエナジーを飲んでいるし(笑)。だから消費者としても、自国のものにこだわらずアメリカのものを選んでしまう可能性が大きい。そういう人は全世界にいると思うんですよ。

新興国の企業がGAFAMのように株価が何万倍にもなるような成長はなかなか難しいですよ。どこかで国際企業の壁にぶつかります。だから僕は、途上国のリートを持っています。いくらアメリカの企業が強くても、地元の不動産価格は上がるはずだと考えていますから。

いずれにしてもエミンさんがおっしゃった通り、全財産を新興国に賭けるのは危険です。僕はポートフォリオの数%程度にしています。

中国はデフレと低成長に悩むことになる

――中国はどうでしょうか、回復するでしょうか。

【エミン】いや、難しいでしょうね。最近になって住宅の刺激策を出していますが、回復するほどの規模ではありません。

中国で売れ残っている住宅のトータル資産規模は4兆ドル近いと言われています。それに対して、最近出した対策は400億ドル規模程度です。4兆ドルに対して400億ドルというのは1%程度にしかなりません。本当に焼け石に水です。

中国は少しずつ不良債権の処理をしていく中で、さらにアメリカとの覇権争い、対立が起きるでしょう。それを考えると、日本と同じでデフレと低成長に悩まされる。そういう時代に突入したと思う。もちろん個別セクターでは復活するところもあるかもしれないけど、国全体、マクロ経済的に見た場合には、中国は目先、相当に厳しいと思っています。