失業した若者は「ゾンビスタイル」に

「死んだはずの死体が腐ったままで甦る」。それがゾンビだ。

ルーツはブードゥー教で、語源はコンゴの神「ンザンビ(Nzambi)」に由来する。ハイチではいまもブードゥーが信仰されている。ゾンビの中国語訳は「蛇神」、あるいは「喪屍」。日本語訳をあえて探せば「活性死者」か。

中国映画や漫画でゾンビは普遍化し、2022年1月24日のSNSではゾンビの撮影に成功した映像(フェイクだろう)がTikTokを通して世界に流れて社会問題となった。近年の中国は若者が大量に失業し、階段で転げたまま寝込んだり、公園でうつぶせで寝たりする不作法な行為が増えた。これを「ゾンビスタイル」と言うようになった。

倒産しているのにしぶとく営業している不動産デベロッパーの恒大集団や碧桂園がすべてを象徴する。不動産デベロッパーが軒並み外貨建て社債の利息も支払えないのだから「デフォルト」は明らかだが、中国では正式には倒産として扱われない。これぞゾンビ企業、そして中国経済とは妖怪のような企業がのたうつ「ゾンビ経済」である。ゾンビだから不思議でも何でもないと思えばそれまで。まじめに考えると損をするぞ。

写真=iStock.com/LewisTsePuiLung
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中国が発表するデータを信じてはいけない

経済成長が明らかに停滞しているのに、GDPは成長していると夢遊病のように喧伝する国家統計局は“3割水増し”が常識であり、「公式統計は信用に値しない」と明言したのは李克強前首相その人だった(上海のプールで急死した李克強元首相は暗殺されたと殆どの中国人が思っている)。

たとえば、2023年1月~11月の不動産投資はマイナス9%台だという。そんなに低いはずはない。マンションは随所に建ったけれど殆どが空き屋。2024年2月現在、工事中断が350万戸以上ある(中断物件だけで完成後の幽霊マンションは数え切れない。一説に30億人分だと言われていると『日本経済新聞』が伝えた)。マンションの販売はほぼ90%落ち込んでいる。

投資対象別でみると、住宅=マイナス9%、オフィスビル=マイナス10%、商業ビル=マイナス16.9%。失業率は都市部失業率が5%だそうだ。2023年7月に若者の失業が21%台として以来、2024年1月まで発表はなかった。真相に近い若者の失業率は50%近い。