不況になると罰金が増える

生産者の自律性に任せればいい話で、ここまで細かく厳しく監督し、重大視する必要があるのだろうか。

多くの人が、地方政府がなにかにつけ細かく罰則を科すのは、「罰金経済」が原因だと囁いている。「罰金経済」とは、罰金によって自治体や組織を維持するということだ。

実際、不況に見舞われると、罰金が目立って増える。市民の言い分には一理あるかもしれない。

中国の公務員には、日本と同じように国家公務員と地方公務員がある。

国家公務員の給料は半分を中央政府が支給し、半分を勤務地の税収入に頼る。地方公務員の給料は半分を各省の財政部門が支給し、半分を勤務地の税収入で賄う。

税収入に対して、行政収入というものもあり、手続きに関する手数料や違法行為に関する罰金などがそれにあたる。

収入不足を補うために「罰金」が使われている

各省や直轄市の税収入の一部は中央政府に上納しなければならないが、行政収入の部分はすべて現地政府の金庫に入り、上納する必要はない。

邱海涛『中国の台湾武力統一が始まる』(徳間書店)

そのため、一部の地方では罰金経済が流行り、収入不足や地方債の償還を補うための財源にしているのである。

こうした罰金経済のうち、交通違反の罰金がいちばん多いといわれ、市民からの苦情も最多だ。とくに、交通誘導指示がわかりにくい場所には、必ず監視カメラがどこかに隠されており、うっかり違反をすると、数日後に罰金通知が送られてくる。

わかりにくい指示で、わざと違反を誘発し、罰金を取ろうとしていると、憤る市民も少なくない。

そして現在は、食品が狙われている格好だ。

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