「小学校の昼休み」まで有料化

2023年8月29日、中国の光明日報新聞社(中央政府傘下の新聞社)のサイト「光明網」で、広東省東莞市のある小学校が昼休みの有料化を実施するというニュースが流れ、大きな波紋を呼んだ。

報道によると、東莞市の虎門捷勝小学校では、昼休みを有料化とする規定を実施するという。料金表によれば、机に伏せての休憩は1学期200元、寝具を使っての休憩は1学期360元、ベッドのある休憩室を利用しての休憩は1学期680元とある。

記者の取材に対して学校側は、「昼休み有料化制度について、生徒が利用するかどうかは、まったく自由選択の権利がある。決して強制的なものではない。家に戻って昼休みを取るのも結構だ」と説明する。

さらに学校側は、これらの有料サービスは政府の正式許可を取っていると付け加える。

不動産バブル崩壊で地方政府の財政が逼迫している

中国人の場合、面子が重要であるため、みなが金を支払って学校で休憩しているのに、自分だけ昼休みに家に帰って休憩を取る生徒はいないだろう。選択の自由があるといわれても、実際には断れないはずだ。

政府の関係部門は、「昼休みの有料化によって増える収入は、教師の残業手当にする考えだ」と真意を漏らす。

前述したように、中国では不動産バブルが弾け、土地価格が急落している。地方政府はこれまで、土地の使用権を不動産会社などに売却し、得た利益を財源としてきた。

それは地方政府の収入の3~4割も占めてきたのだ。

しかし、不動産不況により収入が減ったことで、地方政府の財政が逼迫し、全国的に公務員への給料削減や未払いが続出している。

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不動産バブル崩壊で地方政府の財政が逼迫している(※写真はイメージです)

生徒の父母たちは、「寝具を使った休憩なら有料も理解できるが、机に伏せて休憩するのも有料になるとは、思いもよらないことだ。今後、立ったままの授業は無料だが、椅子に座っての授業は有料になるかもしれない」と、苦情まじりに不安を語る。

中国の学校では、さまざまな名目で教育費を徴収されるため、とにかくお金がかかる。そのうえでさらに「昼休み有料化」というのは、あまりにも荒唐無稽だろう。