夫が妻に嫉妬せず対等でいることが、女性活躍には必要

――福島さんにとってパートナーと「よい関係を続けるコツ」はありますか?

とにかく、なんでも平等に話しあうこと。それは夫婦だけじゃなくて、子どもとも。家族って平等な関係ですから。

うちは夫も弁護士で、互いの活動をリスペクトしているのは大きなポイントだと思います。娘も弁護士なので、ときに家族でシンクロして、一緒に活動したり、支えあったり。とても助かっています。

あと、夫が妻であるわたしの仕事に嫉妬したり「おもしろくない」と感じることが1ミリもない、というのが大きいと思いますね。だからわたしは遠慮なく発言できるし、のびのび行動できる。励まされたことはあっても、活動をセーブするようにいわれたことは一度もありません。

――パートナーの方はどのように家事・育児をシェアされてきたんですか?

それは本当に半々。先に帰るほうが、お迎え、食事、お風呂、絵本を読み聞かせて寝かしつけまで。でも実は、夫が定時で上がると、同僚から「お前が育児をするせいで、俺も(妻から)やれっていわれるんだ。やめろ」っていわれてたんだって。まあ、半分冗談でね。でも夫は子育て期間中は、わたしにはそれをいいませんでしたね。

彼は料理がすきでね。また、自分の頭で考えられるようになってほしいと、子どもにゆっくりと向き合っていました。何年もかけて『ナルニア国物語』、『風の谷のナウシカ』の原作漫画全7巻(宮崎駿)、『宮沢賢治童話集』などを夜寝る前に読み聞かせてくれて。やっぱり物語の力っていうのは大きいですよね。

撮影=石塚雅人

マイノリティであることも含めて自分のことを愛せたら

――女性ゆえの苦労というのはありましたか?

やっぱりね、それは「虎に翼」に描かれている通り、「地獄の中をつき進む」しかないと思うんですよ。わたし、若いときはクライアントのもとへいって「男性の先生かと思っていたのに」「女性だったんですか」とがっかりされることがよくありました。瑞穂って男性でも通じる名前だから。

「虎に翼」は100年前の物語だけど、いまに地続きですよね。女性であるということは、やっぱりマイノリティではある。

――わたしは会社員時代に、いまの社会で上位のポジションに就いている女性には、男性以上に男性的な価値観を内面化して生き残ってきた人が多いのでは、と感じました。

うーん。でもほら、別に女性であることを残念に思ったり、男性性を内面化なんて、そんなこと考えなくっていいんだよね。自分の中にあるマイノリティ性を否定する必要はないんですよ。

例えば英語が第一言語の人は、それだけで他の国の人と話せちゃいますよね。相手が自分に合わせてくれるから。でも、日本語が第一言語だったらきっと外国語を学ぶでしょう? マイノリティに生まれつくと、他者の言語を習得せざるをえない、それって面白いことでもあるとわたしは思うんだよね。

それと同じで、男性に生まれついた人には見えないものが、女性には見えている。相手には見えていないものが自分に見えているんだ、自分の弱さや違いは武器にもなるんだ、と考えたらどうでしょう。そして、それを口に出していくことよね。

わたしは、このわたしに生まれてきたことを肯定したいと思っているのね。自分の中にある「女であること」「男であること」、もしくは「そうではないなにかであること」、なんでもいいんだけれども、それとともに生きていくんです。生まれついた自分で、自由に生きる。それしかないですよ。