外発的動機づけの効果は一時的なもの
おそらくあなたも何か新しいことを始める際は外発的動機がきっかけになっているはずです。ただ、気をつけなければいけません。一般的に外発的動機づけの効果は一時的なものといわれているからです。
たとえば、仕事で成果を出したら多額のボーナスをもらえることを動機に頑張っても、「お金はもらえるけれども、面白くないな」と感じる人は少なくないはずです。ですから、きっかけとしては非常に有効ですが、長い期間にわたって仕事をし続ける、成長し続ける際には、必ずしも効果的な動機にはなりえません。
本来は、「行為そのものが楽しい状態(内発的動機)」で取り組めればベストですが、それができていればすでに習慣化は成功しています。あまり楽しくないから苦しんでいるのです。
「報酬のために取り組むのはおかしい」と思う人もいるかもしれませんが、楽しいからやる状態(内発的動機)に到達させるには脳の機能を考えるとステップを踏む必要があります。無意識に行動できるようにするには初期段階では一定の報酬が必要なのです。
気が向かない行動を習慣化するためには、まずなりたい姿、ありたい姿を外発的動機で明確にして「GPS機能」を働かせることが効果的です。この際に可能な限り目標は明確にすべきです。
なぜならば、目標を明確に描くことで脳の「GPS機能」(ラス)がそれを重要な情報として認識しやすくなるからです。ラスは重要な情報に焦点を当てる働きを担っています。目標が視覚化されれば、脳はそれを重要な情報として認識し、集中しやすくなります。ラスが優先的に処理するきっかけとなるのです。
「行為そのものが楽しい」につなげる必要がある
脳にとって目標を達成することで得られる報酬や充足感は強力な動機づけになります。外発的動機には目標達成によって得られる報酬やポジティブな刺激が関連づいていますので、ラスは反応します。「ノルマを達成したらボーナスがもらえる」という目標があれば刺激になり、習慣化に向けた行動を促します。
脳は変化を嫌います。意識的に新しいことに取り組む処理能力も限られています。ですから、限られたリソースを最適に利用する効率主義の構造です。
外発的動機で特定の明確な目標を持ち、脳の注意を向けさせることで「GPS機能」を優先的に働かせることが可能になります。ただ、外発的動機づけによって「GPS機能」が働くのは意識的につくられた状態です。脳の仕組みをうまく利用して脳をだました状態ともいえます。
持続性に欠けていて、ずっとは続きません。このモチベーションが高まっている状態を維持するためには、最終的には「行為そのものが楽しい」と感じる「内発的動機づけ」での行為につなげる必要があります。そのステップとして、次に必要になるのが「自己効力感」の向上です。