年50回使ってもシッター代は13万円

ちなみに、「シッターさんを雇うほどお金がない」というのも、現実とは少々異なります。

家事代行までしてくれるシッターさんの利用料金は1時間あたり2000~2500円です。3時間でおおよそ7000円としましょう。今は、こども家庭庁主導で始まった、1回当たり4400円のシッター補助があります。これを使えば1回2600円。年50週使ったとしても13万円で、これに年会費などを含めても負担は20万円にもならないでしょう。

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私は20年以上前にシッターを利用していましたが、その頃は時間当たり1500円で、当時もあった公的支援が1回1500円受けられたので、3時間利用した場合、3000円でした。そのころから、こうした働き方は可能だったのです。

「子どもとの時間も自分時間も昇進も」はどの国でも無理

本気で昇進したいなら、こんな「欧米の常識」的なリーン・インが必要な時代なのです。

海老原嗣生『少子化 女“性”たちの言葉なき主張』(プレジデント社)

こんな話をすると、「子どもと過ごす時間が少なくてかわいそう」という声がでそうですが、それもやはり昭和的だと言わざるを得ません。まず、土日はしっかり子どもといられます。子どもが心配であれば、シッターさんに任せる日も、早めに帰ってきて一緒にいてあげれば良いでしょう。

それでもまだ「足りない」という人に、いくつかの話をしておきます。

日本以外(特にアメリカなど)では、リーン・イン型のエリートカップルは、家事・育児をナニーさん(外国出身のハウスキーパー)に任せっきりというケースが非常に多い。こうした家庭を「シンガポールスタイル」と呼びます。確かに子どもとの時間は減りますが、その分、世帯収入は多く、習い事や学費の高い学校に行けるなど、子どもにとってのプラスもあるので、それで良しと考える夫婦が多いのでしょう。

このことは一つの教訓ともなります。「子どもとの時間」も「自分の自由な時間」も「仕事」も「昇進」も、と全てを手に入れることは、どの国だってできません。どこかをあきらめ、どこかを優先するということが、重要だということなのです。

そして子持ち様も非子持ち様も、どこかをあきらめどこかを優先しているのだ、ということが周知されて納得できる状況であれば、この対立構造はなくなるはずなのです。