フランスの男性育休取得者は「家庭をとった人」と呼ばれる

女性ではありませんが、GEの名経営者として有名なジャック・ウェルチは「ワーク・ライフ・バランスか、ワーク・ワーク・バランスの二者択一」とまで言っています。

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フランスなどのカードル(エリートコース)社員では、男性でも育休取得者が多数いるのですが、彼らは「出世を諦めた人」「家庭をとった人」と呼ばれるそうです。

つまり、「バリバリ働き続けて昇進をめざすか、ワーク・ライフ・バランスをとって昇進を諦めるか」の二者択一が、日本以外の国の常識といえるでしょう。

日本で「仕事も家庭も」という考えが根付いた理由

さて、ではなぜ、日本では「昇進も家庭もとる」という考え方が浸透してしまったのか。その理由を考えたいと思います。

昭和時代の男性は大学を出てつつがなく長年勤めれば管理職になれていました。このかつての常識(企業によっては今でもそれが残存する)が頭にあるから、「長く勤めれば管理職になれて当たり前」「男の人はずるい」と思ってしまうことは大きいでしょう。

しかし現状、かつてのように大学を出て正社員として長く勤め、極端に悪くはない勤怠・業績を残せば、みな課長になれるという時代では全くありません。賃金構造基本統計調査のサンプル数から出したデータでは、50代前半×正社員×大卒男性という最も管理職比率が高まる年代でも、昨今は管理職になれている比率は4割強にとどまります。これは、大企業に限ったことではなく、従業員100名以上の中規模企業でもそうです。

つまり、昇進機会は少なくなっているといえるでしょう。これが昭和との大きな違いの一つめ。