天下り先を隠蔽するための工夫

従来は、これらの団体に定年退職後すぐに就職していたように思われる。しかし現在は、国家公務員で一度でも管理職を経験した一定の地位以上の職の者が天下った場合、その新たな職場を公表する必要が生じている。そのため最初の天下り先としては保険会社などと表示し、数カ月後や数年後にパチンコ関連団体に就職するという小技を用いるようになった。

あるいは、パチンコメーカーの団体であっても、組織団体名に併せて表記される再就職先の業務内容の欄には、「打球遊戯機製造業に関する指導調査、調査研究等」や「保安電子通信技術に関する業務」というようにその団体の性格が記され、パチンコ業界に関心を持つ者でなければ、再就職したのがまさかパチンコ業界だとは分からないように工夫がされているようである。

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関連団体の幹部はほとんどが警察OB

警察のパチンコ業界への関与については、パチスロの認可の歴史に顕著に表れている。一台当たりの利用金額がパチンコよりも多いパチスロは、1980年に東京都公安委員会が、81年に大阪府公安委員会が風俗営業の許可を出した。パチスロのメーカーは日本電動式遊技機工業協同組合(日電協)という団体をつくって、風俗営業の許可を得る働きかけをしており、その団体の幹部は警察庁や警視庁のOBで占められていた。

理事長 元高知県警本部長、警視庁防犯部長・吉武辰雄
専務理事 元山形県警本部長、警察大学校交通教養部長・柿内正憲
事務局長 元関東管区警察局外事課長・田所修
事務局次長 元警視庁王子署長・伊藤正泰
技術部長 元四国管区警察局通信部長・石川郁夫
大阪事務所長 元近畿管区警察局通信庶務課長・宮川崎治
そして顧問が、元警察庁長官で、現中曽根内閣の官房長官・後藤田正晴(入閣時点で顧問を辞任)。
(読売新聞大阪社会部『警官汚職』角川書店、1984年、255~256頁)

この本には、さらに次のことが記されている。

しかもこの組合の理事長・吉武辰雄は、ロッキード事件の刑事被告人・児玉誉士夫が筆頭株主となっている、双栄運輸造船株式会社(東京都千代田区外神田四)の会長を兼任、この会社のビルに組合事務所を置いていた。(同書、256頁)