親がパチンコに熱中し、子供の「置き去り死」が相次ぐ
高額に換金できるコインが一挙に獲得できるパチスロのCR機に魅了された客が、自分の子どもをパチンコ・パチスロ店の駐車場の車中に置き去りにし、子どもが熱中症で死亡するという事件が相次いだ。
パチンコ店の駐車場での置き去りによる子どもの死亡者数は、3人(1998年)、6人(1999年)、5人(2000年)、4人(2001年)であった。その後、2008年から18年までの11年間では8人いたとされている。
パチスロのCR機が射幸性が高いと批判され、パチンコ店の駐車場で車内に置き去りにされた子どもの死亡が社会問題化しているなかで、なぜ元警視総監がパチスロメーカーの最大手の一つに天下ったのか理解しがたい。なお批判を受けてパチンコ店が、駐車場のパトロールを行うようになり、それに伴って死亡する幼児は減少したと言われている。
しかし、パチンコ店駐車場の車のなかに子どもを置きにくくなった客は、自宅へ子どもを置き去りにしてパチンコをするようになった。これは、現在も続いている。たとえば2023年10月、名古屋市で1日12時間、4日間連続で3歳と5歳の娘を自宅マンションに置き去りにしてパチスロをしていた父親が、保護責任者遺棄の容疑で逮捕された(「幼児2人を放置 容疑の父親逮捕 名古屋、パチスロ目的」読売新聞、2023年10月5日)。
警察OBに支えられるは今後どうなるのか
後発であるにもかかわらず、パチスロは2017年には台数シェアで37%に成長し、売り上げシェアでは47%を占め、粗利でも44%を占めている。台の入れ替え時には、2010年からパチンコからパチスロへの移行が継続している(『DK-sis白書 2018年版』ダイコク電機株式会社、2018年)。警察庁の保安課長は、パチスロについて、当初、認可することになるとは考えていなかったという。
後藤田正晴が「ミスター警視庁といわれた大変りっぱな人」(前掲『警官汚職』、285頁)と呼んだ元警察官僚たちによって認可に至り、その後、警察庁の保安部、生活安全局及び警察OBによって支えられているパチスロとパチンコは、IR(統合型リゾート)の開設ともからんで、今後どのような展開を見せ、人々の生活にどのような影響を与えるのだろうか。