就活が難航、うつ病に
就職支援会社が主催するジョブフェア、合同面接会にも足繁く参加してみたがこれはという求人は少なく、興味が湧く仕事は経験を求められる。
「自分では年齢的に第二新卒のつもりでいたのですが世間の評価は低かった。こういうわけで失業手当があるうちに次の仕事を得るのは駄目だったんです」
ここはとりあえず派遣とも思ったが、今度は安定した正規雇用の仕事に就きたいと思っていたのでアルバイトを掛け持ちしながら、引き続き就職活動することを選択した。
「自分では手応えがあったところも何社かあった。これなら大丈夫だろうと期待していたけど結果は不採用。こういうことが続いてメンタルがおかしくなってしまいました」
まず下痢と便秘を繰り返す。眠りが浅くなり、そのうちまったく眠れない日もあるように。イライラや耳鳴り、食欲不振などの症状も出てきて耐えられなくなり病院へ。
内科ではこれといった問題は出てこず心療内科へ回された。そこで下された診断は軽度のうつ病。
「何となくですがそんな気がしていたので驚きはしませんでした。図書館にある家庭の医学などを読んでみたら符合することがあったので。ドクターからうつ病ですと知らされても冷静でしたね。ああ、やっちゃったかという感じです。これで職探しは一時中断となってしまいました」
貯金残高が100万円を切ると無性に不安
およそ半年間は貯金を取り崩して暮らしていたが、そんなに多くの蓄えがあるわけではない。貯金の残高が100万円を切ると無性に不安になった。
「ハローワークに通うのだって交通費が必要なわけだし」
とりあえずアルバイトでいいから働こうと決意したが、精神的に不安定なときもあって人と接するのは緊張して駄目。
「睡眠障害も完全には治っていなくて。夜に眠れず明け方になって眠くなったり、日中は終始だるかったりするのですが、日が傾く頃に元気になってくるような感じでした。そういうわけで夕方から4、5時間働けるところはないかと探していたら、たまたま見つけられたんです」
勤務時間は夜6時から10時30分までの4時間30分、時給は1100円。休憩時間は定められていないが客のいないときにトイレに行ったり、コーヒーを飲むぐらいは咎められない。
「わたし、世の中にこんな仕事があるなんて知りませんでした。パチンコなんてやったことがないし家族もそうですから」
店で勝った客は出した玉数に見合う香水瓶を持って交換所に来る。それを買い取ってお金を渡すのが仕事だ。
「人相や風体の良くない人が多いですよ」
子ども連れでやってくる女性や高齢者も多く、正直に言ってこれまで関わってきたことがない人たちばかり。体調が良ければ絶対にやりたくないことだが贅沢は言っていられない。
「収入は週6日出て月11万円あるかないかっていう金額です」
これだけでは暮らせないので貯金から2万円出してなんとかやっている。
「1カ月の生活費が13万円というのは東京都の生活保護と同じだそうです。要するに貧乏ですね」