日本円以外の通貨を保有して次の投資への準備を

【渡邉】かつては円が安全資産と考えられていたと思いますが。

【ロジャーズ】歴史が美しいと思うのは、常に変化があることです。昔は円が安全通貨だとされていましたし、日本はすばらしい国だと思われていました。しかし、国であろうと、通貨であろうと、すべてが変化していきます。アメリカもいずれは変化を遂げます。ですから、私もドルを売るタイミングを見つけたいと思っています。さまざまな国のさまざまな通貨のめまぐるしい変化を捉えることが、投資家としての大事なスキルの一つでもあるのです。

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【渡邉】読者へのメッセージは「今はドルを保有して、次の投資をする準備をしよう」ということですね。

ジム・ロジャーズ/渡邉美樹『「大暴落」 金融バブル大崩壊と日本破綻のシナリオ』(プレジデント社)

【ロジャーズ】正しくは日本円以外の通貨です。それがドルかどうかは私にはわかりません。なぜなら、もし円が崩壊してしまえば、ドルも崩壊する可能性があるからです。その意味で「ドル」と断言しにくいのですが、次のショックがくる前に日本円以外の通貨、あるいは金や銀などに投資しておくべきなのは確かでしょう。

世界中で刷られ続けている紙幣へのツケはいずれ必ず回ってきて、不幸な結果をもたらします。そのときには、紙幣への信頼性は失われ、相場は大暴落します。日本円が崩壊すれば、みなさんが持っている円は価値を失い、紙クズ同然になってしまいます。円以外の通貨をよくチェックして準備しておくといいでしょう。自国以外の国に投資する機会は必ずあるはずです。