毎月の仕送り額は日本人大学生の2倍

劉さんの自宅は高田馬場駅から徒歩圏内という。

「今は家賃6万5000円のワンルームを借りて、毎月7000元(約14万円)ほど仕送りを受け取っています」

24年3月に全国大学生活協同組合連合会が発表した「第59回学生生活実態調査」によると、実家を離れて生活する下宿生が毎月受け取っている仕送り額は7万120円。アルバイト収入は3万6110円、奨学金は1万9660円を受け取っている。ざっくり言えば、仕送り7万円、バイト3万円、奨学金2万円という合計およそ12万~13万円の収入のなかで日本の大学生はやり繰りしている。

仕送りを10万円以上受け取っている下宿生は、1995年~2000年は6割を超えていたが、近年は25%前後にとどまっている。

円安の影響も大きいとはいえ、劉さんは平均的な日本人大学生に比べて経済的にかなり恵まれている。

「日本に着いたばかりの頃は、語学学校の寮に住んでいました。5~6人が相部屋で暮らしていて、家賃は水道電熱費込みで5万5000円でしたが、個人の空間が欲しくて今の家に引っ越しました。家賃は6万5000円で、毎月の水道光熱費は1万円ぐらいです」

「物価は日本のほうが安い」

普段のスケジュールについても聞いた。

「平日は毎日12時半~16時まで語学学校に通うほか、月曜と木曜は午前中も日本留学試験の塾に通っています。空いた時間は自分で復習したり、スマホゲームをしたりしています。語学学校の学費は年間80万円ほどですが、親に負担してもらっています」

両国の生活水準も、ほぼ同等だという。

「日本の生活は中国にいた頃と大きく変わらず、とても便利です。生活の違いはあまり感じません。物価について言えば、食料品はまだまだ中国のほうが安いけど、ドラッグストアに売っているような商品や車やバイクは日本のほうが安い。自分は買わないけど、ブランド品なども安いです」

筆者撮影
劉さんが使う日本語のテキスト。熱心なメモが書き込まれている

中国経済の景気の後退が報じられているが、卒業後はどうする予定なのか。

「将来については、あまり悲観していません。卒業後の就活が大変なのはいつの時代も同じだし、自分はまだ数年ある。将来どうするかは、卒業が近づいたらまた考えます。大学院に進むかもしれません」

実感としては、景気後退はまだ感じていないのかもしれない。周囲には同じような立場の者も多く、今は留学生活を楽しんでいる。アルバイトはしていないので、比較的余裕のある生活をしているようだ。

「週末には学校のクラスメイトと池袋や高田馬場の中華料理店で一緒に食事をしたり、江ノ島まで小旅行に出かけたりしています。江ノ島に行ったときは、スラムダンクの踏切にも行きました」