インドが中国を追い抜き、日本は10位から転落
欧米先進国は、出生率の動きは日本より多少よいものの大差なく、日本同様、高齢化も進んでいるため出生数と死亡数を差し引きした人口の自然動態はやはりマイナス基調であるが、人口の社会動態である人口流入がけっこうあるため日本ほど人口は減少していない場合が多い。
一方、以前ほどでないとはいえ、なお、出生率が非常に高い途上国では人口が大きく増加しており、当然、途上国の人口ランキングは日本や欧米先進国を抜き去りつつある。
基本的に2年ごとに国連は将来人口推計を発表している(最新は3年間隔だったが)。最新の国連の2022年改訂は2022年7月に公表された。
2012年改訂からはじまった2100年までの将来予測が今回もなされた。2100年の世界人口の予測は103億5000万人である。2058年に世界人口は100億人を越えると予測されている。今回の予測ではじめて2100年以前に人口が減少に転じると計算されている。ピークは2080年代で約104億人とされている。
図表2には人口トップテンとその人口の推移を1950年、2020年、2100年という3時点について示した。
長らく人口大国といえば、第1に中国、第2にインド、そして第3位は米国という順であった。1950年と2020年については1位と2位の人口は近づいたが、この順位自体は変わっていない。
しかし、2100年には、インド、中国、ナイジェリアの順となると予測されている。2100年を待たず、2023年4月にはインドの人口が中国を上回ったと国連が発表し、それが世界中で報道され、話題となった。
2100年には、米国は6位に後退し、中国は2位を保つものの人口規模は半減する。そのためインドの1位は圧倒的となる。かつて大インドを構成していたパキスタンとバングラデシュも人口をかなり増加させると予測されているので、南アジアは巨大な人口集積地となる。
人口順位を上昇させる地域としてアフリカが目立っている。2020年にアフリカの中で10位以内に登場しているのは、第7位のナイジェリアだけであるが、2100年には、ナイジェリアが世界第3位に躍進するとともに、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア、エジプトがトップテン入りを果たすと推計されている。
日本は人口規模では2002年から世界第10位だったが、2020年にはメキシコに追い越され11位となった。そして、上述の通り、2023年には12位へとさらに後退した。
日本の人口は、1950年には世界第5位、2020年には世界第11位であったが、その後もランクダウンを続け、2100年には世界第40位(6278万人)と大きく地位を低下させると予測されている。