求められるのは「ドラえもん」より「のび太」

AIが人間に代わってほとんどのことを行うようになる。それは、言ってみれば誰もが「ドラえもん」を持つようなものです。

自分では働かない「のび太」が、ドラえもん=AIに「これが欲しい」と要求すれば、それで何でも済んでしまうということです。

和田秀樹『頭がいい人の勉強法』(総合法令出版)

しかし、『ドラえもん』という物語において、重要な役割を果たしているのは、何でも出せるドラえもんより、むしろのび太のほうです。もし、のび太がつまらない人間だったら、あの物語は成立しません。「こんなものを出してほしい」というのび太のリクエストがユニークだからこそ、話が面白くなるのです。

AIの時代に価値が高いのは、要求に応じてものをつくる「ドラえもん」的な人よりも、「これをつくれ」と要求する「のび太」的な人です。

IT時代にその最初の体現者と言っていいのが、スティーブ・ジョブズです。彼が自分自身はITオタクでも技術者でもないのにアップルを創業して、大成功を重ねてきたのは、「こんなものをつくってほしい」と思いつく、自分のその発想力に自信を持っていたからです。

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