そのイメージがすべて誤りだとは考えていない。

今の時点でも、かろうじて住民の生活動線上の道路のみ最低限の管理が行われ、建物がない区画周辺の道路は完全に藪に還っていたり、荒れるに任せた空き家が放置され、その間にほぼ雑木林と化した空き区画が残されている、という限界分譲地はいたるところにある。

写真=iStock.com/electravk
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あのような荒廃した分譲地がこの先、子育て世帯の注目を集める人気のニュータウンになる未来などまったく想像できないし、実際、ブログを開設してから今日までのおよそ6年、事態が改善の方向に向かっているようには見受けられない。

ゴーストタウンになる予想は大外れ

しかし、空き地が今なお大量に放置されているその一方で、中古住宅の市場はブログ開設当初と比較して、誰の目にも明らかなほど活況を呈してきた。

築30年にも満たない空き家がいたるところに放置されていた千葉県の限界分譲地だが、本書執筆中の2023年秋の時点では、よほど再利用が困難な廃墟でもない限り、空き家に買い手がつかず手放せない、という状況は起こりえないと思う。

これは決して僕だけの先入観で語っているわけではなく、取材でお会いした地元の不動産関係者の方々も口を揃えて同じ見解を述べている。

むしろ不動産業者自身、同業他社や個人の投資家などとの競争の中、商品としての「空き家」を積極的に追い求めている。

このまま空き家が増加してゴーストタウンになってしまうという僕の予測は大きく外れ、むしろ取引価格は上昇する一方で、今では、ブログ開設当初によく見かけたような投げ売り価格の物件など、一般の物件サイトではほとんど見かけなくなってしまった。

300万円でも売れなかった築30年弱の「庭付き一戸建て」

僕が都内から千葉県八街市への転居を決心して、本格的に物件情報を調べ始めたころ、八街市周辺の、1990年前後に建築された一般的な子育て世帯向けサイズ(床面積70~90m2ほど)の中古住宅は、安いものでは150万円くらいで広告が出されていた。

もちろん、プロの業者であればそれよりも安い価格で物件を仕入れる機会はいくらでもあると思うが、僕のような一般人でも容易に入手できる物件情報でも、その程度の価格帯の物件はよく見かけたし、300万円程度の価格であれば、大体いつも掲載されていて、数カ月間は広告が出され続けているのが常だった。

築30年弱の庭付き一戸建てが300万円というのは、都心部周辺で暮らす方にとって衝撃的な価格だったようで、僕のブログで初めて大きな注目を浴びた記事も、そうした八街周辺の物件相場や空き家の事情を語ったものだったが、元々はそんな価格の中古住宅は、いわば「安かろう悪かろう」の廉価品にすぎず、立地条件やその他のデメリットを許容できる購入者が現れるまで粘り強く広告に出され続けていたものだ。