トランプの孫10人全員が「ユダヤ人」
トランプ氏は最初の妻との間に長男ドナルド、長女イヴァンカ、次男エリックがいて、3人ともユダヤ人と結婚している。長男の子は5人、長女の子が3人、次男の子が2人いる。
ユダヤ教で定義する「ユダヤ人」は、「母親がユダヤ人で、他宗教に改宗していない人」もしくは、「ユダヤ教に改宗した人」となっている。イヴァンカは結婚前にユダヤ教に改宗しているので、トランプ氏の孫は10人全員がユダヤ人ということになる。
特にイヴァンカの夫であるジャレッド・コーリー・クシュナーが親イスラエルで、ネタニヤフ首相とも懇意にしているのは広く知られるところだ。
トランプ氏が再選すれば、第1期と同様に、親イスラエルの政権になることは疑いようがない。
第2期トランプ政権がイスラエルへの軍事支援を強化すると何が起こるのか。中東のアラブ諸国で反イスラエル、反米の動きが活発になり、特にイランとの対立が顕在化すると予想される。
イスラエルとイランは互いに最大の敵国であり、イランがハマスを支援していることは知られている。アメリカについても、第1期トランプ政権でイランは最大の敵国となった。
イランでは、革命防衛隊のソレイマニ司令官が米軍の空爆で殺害されてから3年経過した命日の本年1月3日にイラン当局が暗殺に関わった容疑者のリストを公開し復讐を誓った。その「復讐のリスト」にはトランプ氏も含まれていた。トランプ氏とイランの両者が復讐という言葉を使っているのは脅威だ。
アメリカのイスラエル支援が強まれば、イスラエル対イラン、アメリカ対イランの直接的な争いが勃発しかねない。
日本はじめ世界への影響は大きい。ウクライナ戦争が勃発した際、原油価格の高騰は一時的なもので終わったが、アメリカがイランと争うことになれば、原油価格への影響は比較にならないだろう。
第2期トランプ政権による最大のリスクは、イランとの衝突が顕在化することにある。
再び「トランプ・ラリー」がはじまる
トランプ氏の経済政策については期待が大きい。2016年にトランプ氏が大統領選に勝利したときは、世界の株式相場は上昇基調となって「トランプ・ラリー」と呼ばれた。トランプ氏が掲げた所得税減税、財政出動などへの政策期待が大きかったためだ。コロナ禍で世界的に経済が低迷しなければ、トランプ氏は2020年に再選しただろうといわれるほどだ。今年11月の本選でも、トランプ氏が再選した直後から「トランプ・ラリー」がはじまると予想される。
一方、経済政策のリスクとしては、3つのインフレ要因がある。
トランプ政権が導入した所得税減税は、2025年に失効するため、再選すれば恒久化するというのが彼の計画だ。減税はインフレ要因だから、現在3%後半で高止まりしているインフレ率が1年後にどう変化するかはわからない。
2つ目のインフレ要因として、対中国の関税引き上げによって物価上昇が予想される。3つ目の要因が移民の減少だ。現在インフレ率が高止まりしている原因の1つに労働者の賃金が下がらないことがある。移民の受け入れが減れば、賃金はなかなか下がらない。
また、先ほどの中東リスクが顕在化すれば、原油価格が上昇する展開も起こりうる。第2期トランプ政権によって、インフレ(高金利)がつづくリスクは高い。