子どもがカンニング行為に走る「前向きな理由」
一つ目は保護者に少しでも良い得点を見せたいという虚栄心です。これはテストの結果が出るたびについ一喜一憂してしまう保護者のお子さんによく見られる傾向です。保護者はわが子にプレッシャーをかけすぎていないかを自問自答しましょう。結果を求めて焦ってしまうその気持ちはよく理解できますが、意識的に感情を抑えてわが子にどんなことばをかけるべきかを考えたり、周囲(たとえば、お通いの塾の講師など)に相談してわが子との付き合い方を見直すきっかけにしたりするとよいでしょう。
二つ目は意外なことにちょっと「前向き」な理由です。それまで得点することに関心のなかった子が、急に「結果」を求めるようになるとカンニング行為に走る場合がよくあります。わたしは、これは受験生としての成長の一過程でもあると考えていますので、カンニングそのものに何も意味がないことを子に正面から説明すればすぐに解決できるケースです。カンニングをする理由で最も多いのはこのタイプかもしれません。
わたしは長年、中学受験指導をおこなっていますが、カンニング癖がついてしまっているような子でも、受験期になると徐々にそんなことに手を染めなくなってくることがほとんどです。「この学校に進学したい」と心から合格を願う学校が出てきたら、不思議なことにカンニング癖はすっと無くなっていくもの。合格のために不正行為など何の意味もないことを子どもたちは知るのですね。