東日本大震災から続く災害時のデマ
災害時は、電話は輻輳状態となってほとんどつながらなくなる。しかし、インターネット回線を使うSNSではやり取りが可能だ。
2011年の東日本大震災でTwitterの価値が見出され、それ以来、災害時用にアカウントを作る人が急増した。総務省の「熊本地震におけるICT利活用状況に関する調査」(2016年)によると、情報収集にSNSを利活用した割合は、東日本大震災では0.9%だったのが、2016年の熊本地震では47.6%にまで増えている。
2011年版の情報通信白書によると、東日本大震災当時から、Twitterでのデマは確認されている。コスモ石油のコンビナート火災に伴う「有害物質の雨が降る」というデマは震災発生直後に急増、翌日からはこれをデマとして打ち消す投稿が増えたという。その頃に比べてスマホの普及率やSNSの利用率が上がっていることも、デマが増えた要因となっているのだ。
熊本地震では、Twitter上に多くの救助要請が投稿された。大分県では、SNS投稿のテキスト・画像から判断し、AIで大分県の災害に関するものを抽出。SNSの画像が過去に撮影されたものかをネット上で検索し、同じ画像が見つかれば、その投稿はデマの可能性が高いと判断した。加工したフェイク画像もAIは見抜くことができ、その後、人の目でチェックもして判断したという。
3000万インプレッションで1万円まで減少か
YouTubeなど、投稿が多く見られることで収益が得られるSNSは多い。しかし他のSNSとXとの大きな違いは、Xでは自分のオリジナル投稿でなくてもよく、投稿の質は問われないということだ。
先ほどの例で見れば、どれほど意味がないものや迷惑なものでも、有吉氏のポストにリプライしたことでインプレッションが数万以上となっているものもある。残念ながら、彼らの期待通りに成果が得られてしまっているのだ。
こんな投稿に広告を出しても企業にメリットはないだろうし、実際、Xへの広告出稿は激減している。2022年は四半期あたり10億ドル以上得られていたものが、23年は一年で約25億ドルまで減少している。
23年9月、フォロワーを247万人抱えるひろゆき氏は、「九月は998ユーロだったので、15万7000円」とXでの収益を明かしていた(ちなみにこの投稿のインプレッションは190万以上)。しかし、広告出稿の減少により事情は変わってきているようだ。
TOKYO MXの番組で24年1月、堀潤氏はXでのインプレッションが約3000万だったが収入は約1万円だったことを明かしており、収益は大幅に減少していると考えられる。そうなると、他人に迷惑をかけたり、罪に問われるリスクを犯す意味はまったくないのではないか。