愉快犯が手軽に承認欲求を満たせる場所

災害時は、不安から人々は情報を求めるが、そもそも情報が錯綜さくそうしているため、不確かな情報にも飛びついてしまう。それ故、災害時はデマが多くなる傾向にある。

そしてこの時期は、承認欲求を満たすための愉快犯も多く現れる。たとえば熊本地震における「動物園からライオンが逃げた」というデマ投稿は、会社員の男が神奈川県にいながら投稿したものだ。男は「悪ふざけでやってしまった」と答えている。

2022年の台風15号による静岡県の水害を巡って、画像生成AI「Stable Diffusion」で作成した画像によるデマが広がったこともある。デマを投稿した男は、「『見た人がだまされたら面白いな』という軽い気持ちだった。画像を拡大してよく見れば偽物だと分かると思った。こんなに多くの人が信じるとは思わなかった」という。

非常時には、承認欲求を満たすために、軽い気持ちで悪ふざけをする愉快犯が、簡単に欲求を満たすことができてしまうのだ。

写真=iStock.com/akinbostanci
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正しいかわからない場合はシェアしないこと

Xでは、他のユーザーの投稿に注釈を付けられる「コミュニティノート」機能がある。今回のデマ投稿の一部にはきちんと付けられていたが、もちろん全てではなく、とても十分に機能しているとは言えない。インプレッション目的でのデマ投稿が多いことを考えると、コピペやデマなどでは収益が得られないようにするなど、X側がもっと有効な対策を講じるべきだろう。

災害時など、電話がつながらずインターネット回線しかつながらない状態の場合は、SNSで救助要請することも必要だ。しかし、インプレッション目的のユーザーたちによって自分の名前や住所がさらされ続けてしまうリスクもある。その場合、たとえば友達限定でつながっているFacebookやLINEなどで友達に自分の状況と救助要請を依頼する方法もあるのではないだろうか。

一方、情報を得る側は、発信源の信頼性を確認し、必ず一次ソースを確認する必要がある。その際、必ず情報が最新のものかどうか確認し、複数の信頼できる情報源で確認することも大切だ。情報が正しいかどうか確認できない場合は、少なくとも自分はシェアしないようにするといいだろう。

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