新しい時代のリーダー教育の中心にある学問

いますぐ紙とペンを取り出して、「幸福」を主題に文章を書いてみよう。

イ・ジソン『仕事を奪われない8つの思考法 AI時代に「必要とされる人」』(大和書房)

「『感覚的幸福』と『精神的幸福』、ふたつのうちどちらが真の幸せか」。「私が心から幸せになろうとすれば、どのような思考をしてどんな行動をとるべきなのか。また、誰と一緒にいるべきなのか」。「自分が追求する幸せが、自分の周囲の人々、または自分が属する共同体が追求する幸せと異なる場合、自分はどうすればよいのか」。等々の問いを自分自身に投げかけてみれば、答えを得るために奮闘する自分に気づくはずだ。

それに加えて、自分が書いた文章を他の人々に読んで聞かせ、共感と支持を得なければならないと考えてみよう。文章を書いている間、心に火がつくだろう。知らないうちに仮想の人物を目の前に置いて、全力を尽くして彼らを説得しながら文章を書くはずだ。

このように、トリビウムの修辞学を実践すれば、自分でも気づかないうちに次の4つの能力が育つのだ。

1.深く考える能力。
2.思考の論理を緻密に整える能力。
3.思考の論理をわかりやすく表現する能力。
4.他者に共感する能力。

勘のよい人ならもう気づいただろう。1番目と2番目は創造的発想力を育て、3番目と4番目は共感能力を育ててくれる。すなわち、トリビウムの修辞学を実践するだけでも、AIには絶対に持つことができない人間固有の能力を育てられるのだ。

だからこそ、人工知能時代のリーダーを育てようとする学校は、修辞学を教育課程の中心に据えている。

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