最大の問題は、仲介サイト業者への税金流出
次に着手できるのが、経費の抜本的見直しだ。
総務省は、自治体に入る寄付金を寄付額の半分程度を目安にしているが、少なすぎる。経費などを差し引いて、少なくとも7割、できれば8割は残らないと、本旨に反するのではないか。「返礼品+経費」を「3割以下」に抑えるようにすべきだ。
仲介サイト業者への税金の巨額流出は、現在の最大の問題ともいえる。
民間の仲介サイト業者を規制することは容易ではないが、自治体の経費の使い方に厳しいガイドラインを設けることは難しくないだろう。
一つの方策として、地場以外の業者に支払う経費に上限を設けてはどうだろうか。たとえば、仲介サイトの大手業者に10%以上も支払っている仲介手数料の上限をクレジットカード並みの3%程度に抑えることが考えられる。
その結果、不満をもった仲介サイト業者が手を引いたとしても、ふるさと納税の仕組みが崩壊するわけではない。もっとも、仲介サイト業者がふるさと納税を起点にして自社の経済圏に利用者を引き込むことを狙っているとしたら、すんなり撤退するとは考えにくい。
そして、できることなら、経費の支出先は地元の業者(自治体レベルにとどまらず県レベルも含む)に限るべきだろう。それは、地域が潤うことと同義語だ。
ふるさと納税サイトは「カタログ通販」になっている
仮に大手業者の仲介サイトがなくなった場合、総務省は、県や有力自治体が主導して県レベルのささやかな仲介サイトを地元業者に委託する代替策を推奨してはどうだろうか。
利用者には不便になるかもしれないが、「カタログ通販」化した「ふるさと納税サイト」を眺めて、ショッピング感覚で寄付している現状を見つめ直す契機になるのではないか。
「税金が肉や魚に変わるのが当たり前」という風潮をおかしいと捉えなければならない。そもそも縁のある自治体に寄付することが本旨だったのだから、ささやかな返礼品が贈られてくればよしとすべきだろう。
寄付額に上限を設け、地元業者以外への経費支出を抑えれば、ふるさと納税を取り巻く景色も変わってくるに違いない。
そうなれば、さまざまな問題点を抜本的に解決するための知恵も出てこよう。
爆発的に拡大しているふるさと納税だが、あるべき姿は、「寄付金争奪戦」でもなければ、「官製ネット通販」でもない。
スタートから15年経った今、創設の趣旨に立ち戻る「勇気」が求められている。