一般的に、昆虫にははねが四枚ある。ところがハエには翅が二枚しかない。翅は四枚あると安定するが、すばやく動かそうとすると邪魔になる。そのため、ハエは、翅をすばやく動かせるように、後ろの二枚の翅が退化してしまっているのである。

こうして翅を二枚に減らしたことによって、ハエは高速で翅を動かすことを可能にし、さらに小回りの利く飛行を可能にした。そればかりか、退化した後ろの翅は、飛行を安定させるジャイロスコープのような役割を果たしている。そのため、ハエは、宙返りしたり、急旋回したり、まるでアクロバット飛行のように自由自在に飛びまわることができるのである。

足先に生えた細かい毛のすごい役割

ハエは、高い飛行能力を自らのものにしているのだ。それだけではない。ハエは、壁や天井にまることができる。天井ばかりか、つるつるした窓ガラスにも平気で留まっている。まるで重力など感じていないかのようである。

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ハエは、どのようにして垂直な壁や天井に留まることができるのだろうか。ハエの足先には細かい毛がたくさん生えているが、この毛からは、粘着力の強い分泌液が出ている。そのため、毛が吸盤のようになってハエの体を支えることができるのである。

さらに、ハエの足の先には、大切な役割がある。

やれ打つなはえが手をする足をする (小林一茶)

俳人、小林一茶が詠んだように、確かに、ハエをたたこうとすると、まるで懸命に命ごいをしているかのように、手をすり合わせているように見える。ハエの足の先の毛は味覚のセンサーにもなっていて、ハエは、エサに留まって足先で味を確認することで、エサかどうかを判断しているのだ。高度なセンサーとなっているのだ。

ハエが手足をこすっているのは、味覚の感度が鈍くならないように、手入れを怠らないのである。ハエは高度な飛行技術と高度なセンサーを持っているのだ。

だからね、うるさいと言われても、イエバエも、そのままでいいんだよ。

ゴキブリは3億年前から存在する「人類の大先輩」

③ゴキブリ

ゴキブリは嫌われ者である。見つかれば、悲鳴を上げられて、丸めた新聞紙で叩かれる。

別に人間に危害を加えるわけでもなければ、毒を持っているわけでもない。それでも、多くの人はゴキブリが嫌いだ。この世からゴキブリがいなくなってほしいと、だいたいの人が願っている。そして、今日も新聞紙を丸めてゴキブリを叩き続けるのだ。

ゴキブリと人間が共存できるはずがない。神さまはどうして、こんな嫌われる生き物をお創りになったのだろう。