欠陥分譲地の中古住宅が流通している

筆者は以前、「だから175平米26万円でも売れない…東京から1時間でも「擁壁のある住宅地」が放置される理由」の記事でも紹介したことがあるが、擁壁そのものが崩落してしまって沈下を起こした住宅もある。ひな壇の造成地だけでなく平坦な分譲地においても、地盤沈下によって家屋がひどくゆがみ、放置されている空き家を見かけることがある。

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擁壁が崩落した宅地。(千葉県山武市横田)

家屋が建てられていない更地にもかかわらず沈下しているような分譲地に至っては、もはや造成工事以外に沈下の原因が考えられない。

近隣にこうした被害の模様がそのまま残されている分譲地では、あえてその近所の土地を買って新築工事を行う者などまずいない。更地の需要は極端に下がっていることがほとんどだが、これが中古住宅ともなればまた事情は異なる。

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地盤沈下によって骨組みごとゆがみ、放棄されている空き家。(千葉県九十九里町)

昨今の住宅価格高騰の影響からか、そんな欠陥造成地にある中古住宅でもお構いなしに流通し、価格を抑えれば必ず売れると言っていい状況が続いている。住宅に限らず何でもそうだが、購入者のすべてが必ずしも合理的な判断を下しているとは限らないからだ。

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地盤沈下は家屋の重みで発生するだけではなく、更地にも発生することがある。(千葉県八街市朝日)