忙しくても、心が荒廃しないように

もうひとつ、忙しさへの対応も大事ですね。多くの仕事をこなせばそれだけ自分の幅が広がりますし、成長にもつながるのですが、あまりに忙しい時期が続くとどうしてもメンタルに悪影響が出がちです。

馬渕磨理子『収入10倍アップ超速仕事術』(PHP研究所)

忙しい中でも心の健康を保つためにはどうすればいいのか。私の場合は、自分が「好きだな」と思える仕事の割合を、ある程度確保しておくようにしています。どんな仕事も大好きでやりがいを感じられるならそれに越したことはないのですが、ビジネスにはそうでない作業もつきもの。すべての仕事を好きになれるかといったら、それは幻想だと思います。

ですから私は、例えば自分の成長が感じられる仕事、好きな人や尊敬できる人との仕事などを、できる限り一定の割合で確保できるよう心がけています。忙しい中でも光が感じられるような、心がときめく時間を守っておく。こうすることで、心が荒廃しにくくなったなと実感しています。

私が代表理事を務めているシンクタンク、日本金融経済研究所での仕事もそのひとつです。今は日本企業の企業価値をどう高めるかについて大学との共同研究を進めていて、大きなやりがいを感じています。ここでの仕事は自分のコアとして、またライフワークとして、これからも大事にしていきたいと思っています。

また、書籍の執筆も大事にしている仕事のひとつですね。ニュースだけを伝えるのに比べて3段階ぐらい思考を深める必要があるので、時間も労力もかかりますが、そのぶん完成したときの満足度はとても高いです。こうした満足感や成長実感が得られる仕事は、どんなに忙しくなっても大事に守っていくつもりです。

「ときめく仕事」は、全体の何割を占めているか

皆さんも、忙しさでストレスが溜まりそうになったら、一度自分の仕事を整理してみてはいかがでしょうか。「ときめく仕事」と「ときめかないがやらざるを得ない仕事」というように分けて、全体の中で前者が占める割合をしっかり守るようにするのです。

楽しみだな、待ち遠しいなという思いは、そうでない仕事にも取り組む元気をくれるもの。自分の中で整理ができたら、ときめかない仕事に関しては合理化や効率化を進めていけるといいですね。

そして、整理する際にはぜひ自分の感覚を大切にしてください。周囲の期待に過度に応えようとしたり、苦手な部分を隠そうとしたりすることなく、自分の気持ちと正直に向き合いながら整理していくことが大事かなと思います。

(構成=辻村洋子)
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