自己肯定感が低いから非を認められない
一見矛盾するように見えるかもしれませんが、このような上司は、自己肯定感が低いところもあります。自己評価を必要以上に高く保ち、非を認めず、うまくいっていることにしなければ、自分を認められない。あるいは、人から褒められないと自分を受け入れられないのです。
一方、自己肯定感の高い人は、謙虚になることができます。いくら能力が高くても、自分はまだまだだと考えることができ、自分の至らなさも認めることができます。うまくいかなければ、自分のできなかったところに目を向けて改善しようとしますし、失敗したときも「私が至らなかったせいで申し訳ない」と部下に謝ることができます。
論破しようとせず「フィードバックを求める」姿勢で
では、自分の非を認めないタイプの人が上司になったら、どうしたらいいのでしょうか。
部下の方は、あとから責任を押しつけられないために、あらかじめ防御策をとっておく必要があります。
「この指示は、上司の言う通りやっていると危ないな」「この通りやって、あとでうまくいかなかった時に、私の責任にされてしまいそうだ」と思った場合は、あらかじめ自分の考えをしっかり伝えておきましょう。
ただし、そういう上司は、もともとそうした部下の苦言に対し、聞く耳を持つタイプではありません。「やる前からあきらめるのか」「前もこのやり方でうまくいったから大丈夫だ」などと、言いくるめられる可能性があるので、伝え方にはひと工夫が必要になります。
「○○の工程で最低1週間、△△の工程で最低1週間かかりますから、このスケジュールではどう見ても間に合いません」など、誤りを指摘して上司を論破しようとはしないことです。
「○○の工程で最低1週間、△△の工程で最低1週間かかるので間に合わないように思うのですが、どうすれば間に合わせられるでしょうか」「このスケジュール見積には、どこに穴があるでしょうか」と、フィードバックがほしいという姿勢で話します。
これは、上司と部下の健全なコミュニケーションですから、こういった姿勢で対話を重ねれば、上司も耳を傾けてくれる可能性が高くなります。
やりとりは記録に残しておく
ただ、ここで返ってくるフィードバックがまた、「普通は1週間かかるかもしれないが、頑張れば3日で終わるはずだ」「何でも私に聞くのではなく、自分で考えて工夫してみなさい」など、実現不可能なものだったり、理不尽なものだったりする可能性はあります。その場合は、「その納期では無理だと思う」と、自分の考えははっきり伝えておいたほうがいいでしょう。
そしてこうしたやりとりは、記録に残しておきましょう。そうでないと、最終的にうまくいかなかった場合に、「(部下が)できると言ったのに」「部下の能力が足りなかったから間に合わなかった」などと、責任を転嫁されてしまいます。記録に残し、責任の所在をはっきりさせておくことが重要です。