「新耐震基準」の物件になっているか

次に妥協すべきは築年数となる。絶対に守らなければならないのは、新耐震基準の物件であることだ。1981年(昭和56年)5月31日までの建築確認において適用されていた基準が「旧耐震基準」と呼ばれ、翌日の1981年(昭和56年)6月1日から適用されている基準が「新耐震基準」となる。日本では大きな地震の度に、建築基準法の耐震基準が変えられる。大きな地震の際にその耐震基準で建物の損傷度合が大きく異なるからだ。住宅ローンを出す銀行としては建物が住めなくなるような物件には融資しても、担保設定した不動産の価値が毀損きそんしてしまっては回収できなくなるリスクが跳ね上がる。そのため、原則として新耐震は融資基準の絶対条件の1つになっている。

このため、マンションの建築確認申請が受理された日をチェックする必要がある。売主側に建築確認の通知書を発行してもらい、確認することになる。旧耐震であっても「耐震基準適合証明書」が取得できれば、フラット35であれば住宅ローンが借りられるが、金利が高い分、安くしか売れないし、買い手が少なくなる分、売却しにくいので現実的な選択肢とは言えない。

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オフィスに鉄道1本で行ける駅の資産性が高い

築年のひとつの目安として、2001年以降を推奨しているが、それ以前でも新耐震以降であれば購入に問題はない。ここで、よく質問されるのが、築20年の物件を購入して、10年住んで、築30年になっても売れるのか? というものだ。これは売れるので、心配する必要はない。既に取引された平均築年数は20年を超えており、今後はストックの経年に伴い、遠くない将来に取引の平均築年数は30年になることが予想される。

もう1つの価格を下げる方法は、土地の所有権を捨てて、借地権の物件にすることだ。山手線の内側くらいの借地権にしておかないと、資産価値の落ち方が大きいので、もう少し予算がある人は検討に値するだろう。

マンションは立地で資産性が決まると書いたが、その立地とはオフィスからの時間距離と心得よう。オフィスの床面積の50%は都心3区(千代田区・中央区・港区)にあり、これに新宿区と渋谷区を加えた都心5区で3分の2を占める。この5区に勤めている人がホワイトカラーの3分の2を占めるということだ。単身や2人世帯の共働きが増える中で、通勤時間は短いエリアが人気となっている。郊外の庭付き一戸建てを求める人は以前より少なくなり、都心アクセスの良いマンションニーズは強くなった。端的に言うと、オフィスに鉄道1本で行ける駅の資産性が高い。湾岸エリアや城東エリアの日比谷線・銀座線・半蔵門線・つくばエクスプレス・京急線などで、山手線で言う品川~秋葉原間に鉄道1本で来られれば合格点となる。