Apple Watchより高額な腕時計は必要ない

見栄みえっ張り」な面が、戦後、日本の消費を伸ばしてきた面はあります。例えば、「会社の同僚があの車を買ったから、自分も」といった具合に、誰もが多少背伸びすることで経済が回っていました。

とはいえ、今でも多くの人が「見栄消費」にがんじがらめになっているように思えます。みなさんも、「みんなよりいい物を持って自慢したい」「異性に格好良いと思われたい」などの気持ちで、ブランド品や高級品を買っていませんか。見栄消費が日常化してしまうと、人よりいい物を身につけないと気が済まなくなります。

「本当に自分にとって必要なのか、なぜ必要なのか、見栄で欲しいだけなのでは」と自問自答しましょう。例えば、車を欲しい理由も、「移動のため」だと考えれば、中古車を一括で買えばいいのです。

多くの人は、いざ買うときに、かっこいい車が欲しくなり、グレードを上げていきます。ローンを組めば金利もかかります。一般家庭がスーパーカーのような車を投資対象として買うケースはほとんどないでしょうから、資産価値は購入時をピークに目減りします。

時計も見栄を張りがちです。時計の本来の役割は時間を正確に伝えることです。ですから、機能だけでいったらApple Watchで十分です、私からすれば、Apple Watchほど機能的な時計はありません。リーズナブルなものであれば5万円以内で買えます。ただ、多くの人は収入が上がれば上がるほど、高い時計を求めがちです。

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お金はある分だけ使ってしまうのが人間

もちろん、車や時計が生きる上で絶対に譲れない場合は私も止めません。また、インスタグラマーのように見栄が仕事につながるケースも必要な支出でしょう。

ぜいたく品を買いたくなる気持ちはわかります。脳内でドーパミンが分泌されるからです。ただ、ドーパミンによる幸福感は一瞬で下がります。

そもそも、他人は意外とあなたのことを気にしてはいません。見栄の張りがいはあまりないのです。

お金を何に使うか、使わないか、周囲の目で判断するのではなく、自分の中に軸を持つべきです。お金をつかう「型」さえできれば、あとは自然と支出は減ります。自分の幸せから逆算して、優先順位をつけて、見栄消費を止めましょう。

贅沢なライフスタイルに慣れてしまわないことも大切です。英国の政治学者パーキンソンが唱えた「パーキンソンの法則」によると、支出の額は収入の額に達するまで膨張します。つまり、人間は意識的に歯止めをかけなければ、持っているお金を持っているだけ使ってしまいます。

私のクライアントにも、「年収が高くても、気づいたら貯金がほとんど貯まっていません」という人は少なくありません。「主任から課長に昇進したから、これまでよりも高価なシャツやスーツをそろえるのは必要経費」という考えもあるかもしれません。