金食い虫は口で注意しても動かない

しかし、自分たちの老後資金はない。夫婦ともに退職金がないか、あまり期待できない状態。そこで家計収支でわずかにあった黒字(2万4000円)から1万円をiDeCoに積み立て始めたものの、今から貯めたところで目標の「老後2000万円」にはほど遠い。もっと多くの額を積み立てたい。それには、“病巣”を退治しなければならない。でもどうやったらいいのか?

やるべきことはやり、それでも行き詰まった聡子さんは、当事務所の門を叩いたのです。

さて、どう家計を再生していくか。まず収入の不安定さは、働き方や仕事自体を変えない限り、解決できません。ですが夫婦ともに職を変えるのは現実的ではないとのこと。そこで、支出の見直しに注力することにしました。

夫や子供たちの無駄遣いについて、口で指摘して直るなら苦労しません。これまで聡子さんは幾度となく「高いお肉は買わないで」などとお願いしても聞く耳を持たなかった。それどころか料理熱の水を差すなと言わんばかりに、「せっかくやってるのに!」とふてくされる始末。家族のためを思うなら、おいしい料理もいいけれど、少しは節約にも配慮してほしいものですが……。

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子供の水道光熱費や通信費の使いすぎについても、指摘しようものなら「お母さんの美容費とかお小遣いの方がムダ!」と逆に痛いところを突かれ、撃沈。

要は、夫も子供もお金の話をすると反撃し、聡子さんも嫌な気分になるし、家庭全体が不和になるため、タブーとなっていたのです。その結果が300万円もの借金に。

結局、私から見て、聡子さんは家庭の平和のためにパート勤務を増やすなど自分だけが犠牲になる道を選んできたわけです。ある意味“いいお母さんであり、優しい妻”ではあります。ただ、母の犠牲ありきで、家庭が回っている状態は不健全です。